2017年06月18日

地方都市の投資物件を考えてみる(2)

物件そのものは駅近なので、
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駅出口区画のちょっと先に出るともう到着です
(JR札幌駅からだとトータル40分ちょいかな)

【物件概要】
※売買物件であるためプライバシー保護を考慮し自主規制のレベルを上げています
(地下鉄)地下東西線西18丁目1分、築1986年、RC造11階建ての中高層階、約29u、
総戸数34、管理費7070円、修繕積立金5565円、
エレベーター、オートロック、
中古売買価格:450万円

オーソドックスな間取りがこちら
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いくら営業範囲の規定がないretourと言えども札幌の物件は物理的に取扱いできませんので、資料請求等確認せず(ここも自主規制で)公開情報からお伝えできる範囲での情報となります。
洗濯機置場がどこなのか存否含めて詳しい事はわからないのですが、
いずれにしても、購入し賃貸運用する場合はリノベーションが前提になると思うので、地方の不動産投資がよりわかりやすい話になります。

30平米前後のフルリノベーションと言えば工事費用として300万〜かかるんです。
東京都心から近郊で、同タイプの部屋を購入する場合(最近短期的だと思いますが10%近い値上がり感があるので)1200万ぐらいしていたりします。
1200万の300万(4分の1)
450万の300万(6割超えてます)←こうなると不動産というより半分近くが減価償却資産です(限りなく耐久消費財)。判断躊躇しますよね。

不動産価格そのものは東京においても郊外に行けば安くなります。
地方となれば尚更で、前回記事で紹介したように札幌市内においても中心街から外れると急速に価格は下がります。
しかし内部造作設備や改装コストに地域差は”ありません”。
「450万の改装300万」ならまだマシなバランスなのです。
故に、地方の賃貸経営で大家さんが大規模リノベーションに踏み切る事は大変に難しい。

東京においてすら、不人気沿線で空室が長期化した大家さんはリフォームなどの梃入れもできず、貸止め塩漬け状態となるケースも珍しくないのです。
その反面「お風呂無しの部屋に(和室はそのままながら)なんとか3点ユニットを導入する」一部リフォームは進みやすい傾向があります。

果たして昨今の札幌賃貸の動向は詳細掴み兼ねるのですが、
「大規模リノベーションは難しい、和室もそのままで表替えなどルーチンの退出リフォームで」の判断が多いのではないかと推定します。
しかし、不動産投資運用の場合は造作資産も管理する事になりますから中古の造作をそのままにというのもギャンブルになります(次のリフォーム積み立てをどう計算するのか曖昧になる)。


■ちなみに同地域同タイプのお部屋の一般的賃料相場は「3万5000円管理費5000円」前後でした。
何もリフォームせずそのまま運用した場合の表面利回りは11%、
管理費と修繕積立の合計が約1.3万ですから、実質だと7.2%
仮に完全なリノベで(ダウンライトなんかがある洒落た1Rストゥデイオとした場合)一体幾らで貸せるのか比較となる母数が限られるためなんとも言えないのですが、、、
大通駅前の高級タワーは例外として、それらしいデザイナーズ風ストゥディオを参考にすると、
5万5千円ぐらいかな、、割高な印象もありますが実際そんな感じの相場になってます。
(RC造マンションの場合必ずそれ以上下がらない線があるのは地域に関係無い原則ですから。)
改装費用300万として計算すると表面利回り8.8%、実質で6.7%
悪くないですよね(改装により造作は計算上10年安泰ですし10年後も派生する退出後ルーチンリフォームで保全できているでしょう)。
保全コストを(契約者の期間や解約頻度で大幅に変動しますが)アバウトに10年で160万と考えると、実収益率は4.6%。

安全策を取ってリフォームする方が(表面利回りと実質の差が縮まることもあり)ベターに思えますが、さてどうでしょうね。
ここから先は自己責任、大家さん業としてのビジネス判断になります。

判断基準のひとつ「建物的な水準はどうなのか」
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(画像右です)
高水準ですね
エントランスにも高級感があり
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近隣にはこんなお店も
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当該区画には住宅街ながら公的建築物が複数あり(土地の安定株主的効果で)資産保全性も強そうです。
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近所にはビンテージを思わせるマンションも並び
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(地味ですが重要なポイントです。不動産投資の場合20年後の資産価値をどう予測するのか重要なポイントになりますが、市場動向として本来60年〜あるRC造の寿命にあることを「知見として理解されているか」市場を大きく左右する要因です。日本は木造住宅知見の影響が強くが耐用年数の理解を間違えていることからRC造の中古マンションが実質より値下がりしてしまう場合が多い。←この背景に銀行など金融機関の担保価値査定が影響していることは言うまでもありませんが。)

近隣にお住まいの世帯数がかなり多い証拠なのか、
なかなか回転率の高い最寄り喫茶にて検討してみます。
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思い起こすのは東京郊外に見られる貸止め塩漬けとなる部屋です。
リフォームに踏み切れず単価を下げる方向はジリ貧でしかないのは事実。
(まだまだ使える資産価値があっても保全してこそですから)
その規模を、一部設備に留めるのか大規模なリノベーションとするのかは経営判断になりますが、
仮に期待した賃料で貸せなくても(募集時に値下げせざるを得なくても)、リフォームされた部屋の契約者は長期更新の確率も高くなります(借りるが得な部屋なのですから)。
実質利回りと実収益率の関係を見れば、長期契約者の登場は想定することできなくても”実収益率に多大な影響を与えます”。
大家さんにとって10年以上契約更新してくれる契約者の存在は本当に助かるのです(そして空室期間が続くことがいかに悪夢なのかもご理解いただけるでしょう←全ての計算が狂っちゃいますから)。

などなど考えながら、再びジグザグに北上(札幌駅帰投ルート)します。
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この辺から駅近の大通公園北側は(大通公園東西区画内でも)優良な住宅街であり、
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古くからの高級マンションエリアのひとつと言っていいのかもですね
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北海道らしいと言えば”温泉施設”もありました
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更に北上すると、
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初台や代々木で見かけるような区画に出ます
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(流石の私も北海道の不動産に関する営業上の情報は無いので断言はできませんが)
どうやらこの辺は別格のようで、

北大植物園に沿って札幌駅方向(東)へ向かうと
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「庭では無く原生林のある個人の大邸宅」があり、
詳しく知りたい方は以下記事参照ください
住友不動産が札幌・伊藤義郎邸跡に99・95mマンション、高さ87m車庫建設で48条項申請
http://hre-net.com/keizai/keizaisougou/14615/

(開拓時代から知られる北海道における著名ゼネコンのビッグショットな方の邸宅だったとのこと)
この大邸宅は、JR札幌駅から数区画も離れていない場所にあるのです。

(思うに北大植物園と連続していたのだろうと思われる)敷地内の原生林の様子です
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いやはや札幌市は大都会ですが、
まだまだ未開発な要所を残しているんですね
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さて終わりに北海道の開発や都市計画はどうなっているのか考える上で、
札幌近郊の某市の(ほぼ間違いなく農業用水暗渠化の遊歩道と思われる)公園緑地化遊歩道の様子です。
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アバウトな推計ですが、
1時間あたり延長1キロメートルにおいて人とすれ違う(或は前方や後方などに並走する)確率が1名乃至2名、夜9時以降となればその数はほぼ皆無となります。
いったいどれだけの予算が投入されたのかわからないのですが、
(また何年経過したのか詳しいことわかりませんが)
既にブロック舗装の路面は一部レンガブロックが浮きはじめており(三鷹で同症状が発生した時には”木琴歩道”なんて愛称つきましたが)、
この広さと延長です、舗装改修予算ってにわかに計上できないのではなかろうかと、、

北海道だけでは無いと思うのですが、
地方の不動産を含む資産保全にとってやっかいな問題は”無駄に広域拡散すること”に尽きます。
しかし、全ての流通においてこれを促進するのは(好景気などによる)所得であり消費行動です。公共投資や補助金行政で行う事も可能ですが(やっかいなのは保全維持費)、迂回する分効率も悪いです。
それだけ莫大な開発予算があるのなら(基金化してJR北海道を支えるとか)、炭鉱の再開に賭けてみるだとか、直接所得分配による方が効率いいのではないかと思います。

思うような景気回復が無く(道がJR北海道を支援しない姿勢にも呆れますが)、進む少子高齢化の中で「地方都市の街が”病院街化している”」状況にあります。
(ある意味日本最大の消費セクターは医療ですからね←ここだけは保険制度という仕組みで間接的に莫大な国費が投入されているのも同然になっています)
まさか、病院に行くために生まれてきたのじゃないでしょう、
政府は(特に財務省は)大きな政策転換を考えているのでしょう(容易に手を出せない領域だと思いますが)。

様々な論議を呼んでいるふるさと納税なんてのもありますが、
東京でh動産投資と言えば1000万水準からの話になるのと比べ、確かに資産リスクは高いですが都市中心部であればある程度回避できます。
地方の不動産ははるかに割安ですから、知見無しに行う事はお勧めしません。少なくとも実収益率が想定・計算できる知識があって初めて検討可能なものだと理解しておくべきでしょう。
参考となる指標としては、
「都市中心部で相場的に平米単価が高いことが合理的なもので、総額的に安いもの(=コンパクトなもの)から。可能であれば空室リスクヘッジのため複数戸の運用が視野に入る場合」でしょうか。

<編集後記>
今回レポートの不動産投資における収益計算など考えていただければ
メディアやTVCMや風評などに影響され「借り入れまでして不動産投を行うリスクの高さ(無謀だと言い切ります)」ご理解いただけると思います。
不動産投資は(株式投資で置き換えるなら)「都内で利回り7%」「郊外や地方都市で利回り10%」が”平均的に”市場動向として認識されている状況なのか否か?
(物件固有の判断も重要ですが)
まず、基本となる現状の市場分析抜きに行うべきものではありません。


posted by iwahara at 19:08 | Comment(2) | TrackBack(0) | 特集「明日の大家さん」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする


この記事へのコメント
伊藤組のお屋敷の件は前回私が札幌へ移住した翌月である2012年3月に情報を入手しました
その時点で既に経営が思わしくなく、しかも登記が個人であったこと…
3年前の秋で空き家だったそうです
かっての丸井今井の今井家同様に創業者が新潟から入植したとか北海道の没落実業家は新潟出身者が特に多いのです
地崎工業のバラ園だった所(伏見)は乗っ取った岩田建設の教会になっていますし…

むしろ私が興味あるのは西15丁目電停横のマンション建設地

今度は金沢特集お願いします!
Posted by テオレマ at 2017年06月20日 22:55
なかなか、他地方の取材は難しいですよね。
行く機会があっても何せ土地勘が無いとレポートが書けないですから(笑

札幌取材は(私も全容は掌握していないのですが)、売買DATA追跡するだけで不動産価値が安定しているのが極々”中心部近傍だけ”である事が確認されているので書きやすいのもありますが。
(自治体としては悩ましい問題になっていると思いますね。)
Posted by iwahara at 2017年06月22日 17:26
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