今回は「昨今の分譲」をメインテーマに話をして行こうと思います。その対比の中で賃貸の存在理由も明快になってくるのじゃないかと、
最初は誰しもが最も気になる価格の背景「市場」についてです。
「市場」なんて言葉を使うと一見経済学的な需要と供給のバランスで最適化された相場が頭に浮かびますが、現在の不動産相場の在り方はそれとはかなり異質のものです。『時制』という点だけで見ても「完成前に完売御礼」等の背景にも「第3次募集で大幅な割引」なんてケースもありますから、完成前の一ヶ月の間にすら資産価値は変動しているぐらいの勢いでその市場が特異だってことがわかります。
話をわかりやすくするために表現を極端にするなら、
@「不動産市場にはマクロが存在しない」からです。
不動産市場におけるマクロ的評価ってものは経済学の分析なんかの時には重要なものですが、現実の取引は「その物件1に対して売主1買主1」というミクロ経済で共通の取引はほとんど無い(物件はは1戸1戸違う)ため、マクロも何も「その部屋」からいきなり「東京都の住宅供給量」にまで話は飛躍します。
例えば「造作された暖炉はAさんには200万の価値を持つが、Bさんには無価値だ」なケースはいくらでもあるのであって、市場価格とは『流通しているu単価のサンプルに過ぎない』のであって、車の生産のように流通経路が常に安定していて同じ商品が多数の在庫によって担保される事もありませんからマクロで分析する事は全体像を図る事ができてもそれは参考に過ぎません。
「私にとってこのマンションは1億の価値がある」と当事者が断言すればそこには1億の価値が創造される事になります。この評価はその人物が購入者であれば「one」でいいのです。
現実ではどうなるでしょう?
今暮らしているマンションを中古で売却しようとする時「その人(one)が現れるまで1億で募集しよう」これは可能です。大問題なのは「それは一年以内に売却可能か?」という時制の部分の評価で、ここって正に『金融商品』なんです。
長期間売れない資産は、利回り換算でも損益が含みで増える事を意味しますし、それこそ巷の『現金問屋』さんが何故格安で仕入れができるのかって言えば「現金」だからです。
オークションされている方ならこの辺どなたもよくご存知ですよね、
最低希望価格を設定し延々更新を続けるのか?即買いの設定するのか?
■同じ商品は「決して同じ取引価格にはなりません」
しかし”その流通速度”を図る目安はマクロ的な相場にならざるを得ない。
だとするなら、不動産市場の評価には複数の視点が必要で、「極端に引いたところ」と「個別の物件内容」の双方を区分けして考えないと全体像を見失ってしまいます。
「極端に引いたところ」で、今何が起きているでしょうか。
最近は流石にマンションを供給可能な土地の不足で仕入れ営業の動きが鈍くなりましたが、一時なら毎日マンション開発業者の営業担当者が土地の仕入れ調査で地域の不動産会社に来店し、「一日に何人も来た」なんて事も珍しくありませんでした。
開発業者の背景には当然巨大金融資本があり、開発の可能性のある土地は先ずマンション開発業者か建売分譲業者が買い付けてしまいます。
とても簡単な話です、一般消費者が土地を買うなんて余地は最初から”ほとんど無い”んです。「分譲という既製品しか買えない」という事情を前提に以下の流れを追ってみてください。
※『既製品』と言えばリノベーション用の素材となる中古マンションもなかなか手に入れられません。高額な改装費用を乗せてリノベブランドとして売却する改装系業者が消費者にとって有力な競争相手だからです(この辺の盲点をついての中古素材マンションの購入等仲介のアドバイザー抜きには難しいものです)。
T資産価値の評価として、転売価格が心配な消費者心理から『ブランド名のあるマンション』や『新築・築浅マンション(築浅信仰)』に人気が高まる
ここの背景には、不動産知識の専門家とは言えない消費者心理もうかがえます。
実際不動産の仕事をしていて感じる事に(HPのコンテンツに「間違いだらけの部屋探し」書いているぐらいですから)「一般消費者の不動産知識の大半は間違っている乃至広告等によって誘導されている」と実際感じています。それは当然当たり前です、売買に至っては投資家でもない限り不動産取引自体の機会が一生に1回あるかないか程度の頻度であって、そんな一般消費者が不動産業の知識において熟練する事は構造的に不可能です。そんなニーズから「不動産仲介:エージェント」や「コンサルタント」ってシステムがあるのですから。
ここで大問題です、
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posted by iwahara at 11:04
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売買や賃貸の話
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