『住まいの心理学』ブログの方で書いたんですが、
マイナス金利で不動産投資なる話や報道の大問題
http://kagewari-retour.seesaa.net/article/442563730.html続報的なものが入ってきたので、念のためこちらのブログでも注意喚起しておこうと思います。
にわか大家さん投資の大誤算 賃貸アパート空室率上昇、「バブルの火種」懸念
http://www.zakzak.co.jp/economy/investment/news/20161016/inv1610160830001-n1.htm(一部引用)
銀行も、消費税率引き上げで需要が細った住宅ローンに代えてアパートローンを積極的に拡大。日銀のマイナス金利政策で行き場を失った資金が流れ込み、アパート投資を加速させた。
この波に乗り、建設請負とサブリースを手がける事業者の業績は好調だ。大東建託は今年度、転貸戸数が初めて100万戸を超える見通し。連結最終利益は6期連続で最高を見込む。
一方で需給が緩み、駅から遠いなど条件が不利な物件は入居者集めが厳しさを増す。「特に単身者向け物件は供給過剰で、郊外の家賃相場は年率1%下落している」(タスの藤井和之主任研究員)状況だ。国交省は9月、サブリース事業者に対し、将来の家賃変動リスクを家主との契約時に十分説明するよう通知した。「『部屋が埋まらない』のを理由に、業者から提案通りの賃料が支払われない」といったトラブルが頻発しているためだ。
■先日記事にも書いたのですが、各機関や業界などで空室率には様々な数値があり確定的なDATAを出すのは微妙なところなんですが「アパートの空室率が問題となっている」という部分がポイントです。所謂昔からある資産家が近所の中古マンションを購入して分譲賃貸へというパターンでは無く、昨今喧伝されているのは「アパート経営」スタイルのサブリース系投資で(しかも銀行から借り入れまでして投資を拡大するという無謀なものです)、資産価値やリスクヘッジから見てもも危険な投資方法です。
賃貸住居に暮らしの身から言えば「賃料も安くなるかな」と考えますが、
不動産の場合需給バランス的に賃下げ圧力は限定的だけで無く(常に市場にあって流動するものでは無いですから)、供給過剰に輪をかけているのは特定タイプに偏った賃貸物件です。
引用記事に「家賃相場が1%低下」云々の記載がありますが、まさか現行契約者の賃料も毎月改定されているワケもありませんので(市場に流通している物件は限られている)、
実態はこちらです
↓
●「中古マンションの価格が1割近く上昇している」=賃料設定は同じなので投資利回りが低下する
同時に、郊外ワンルームなどの賃貸アパートの場合「空室が目立つから賃料を下げた」からといってリニアに満室になることも”ありません”し、内装や設備の管理維持コストから(投資の場合ここに銀行への返済も含まれる)賃料を下げるにも限界があるのです。
「隣の部屋の賃料が5千円下がったから引越しした」などの実例を聞いたことってほとんど無いと思います。
しかし「隣の部屋が1年以上も空のままだ」な話は常にありますよね?
それが賃貸住居の需給バランスにおける実態です。
しかもサブリース型のアパート経営ともなれば、損切りする場合「常にオーナーチェンジの一等売り」しか方法が無く(この時「売却価格が下落することで投資利回りが回復=赤字債権の健全化」となる循環)、早期に売却ともなれば厳しい指値を前に悩む事になります。
■予め資産のある方が(低金利なので)資産保全上中古マンションなどの投資を行うのはまだ十分に合理的選択ですが、
前述のとおりで現在中古マンションは値上がり傾向にあり、
この場合も当面は見合わせるべきでしょう。
マスメディアも一体誰の差し金なのかと思いますが(個人的には銀行の救済アイデアなのではと思ってます)、
昨日「賃貸アパートの空室率問題報道」していたと思ったら、
今日は「マイナス金利でアパート経営投資が大人気」の煽り報道を行い、
明日は「バブル再燃の懸念」ですからね、、
どんなマッチポンプなんですか。
一般サラリーマンの方で、銀行から借り入れしてアパート経営なんて事を安易に考えている方(またそれ系のセミナーなんかにうっかり参加してしまった方)、十分に注意してください。
「賃貸物件は野菜じゃありません。値下げさえすれば在庫管理できるような投資ではありません。」
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※金融機関からの資金調達による不動産投資全てを否定するものではありません。勿論のことですが(不動産に関わらず)法人や、既に事業をされているとか特別にメインバンクの信用が高い事情があるなどで「特に低金利で資金調達できる」ですとか(担保評価の高い資産があると等価)、「法的許可を得た民泊やゲストハウスなどの想定利回りの高い事業計画(=別途ビジネス上のリスクを取る)」など挑戦する可能性はどんな状況でもあります。
しかし、上記パターンの投資こそ(事業性が高い企画意図となり)厳しく「需要見込みの判断」が必要となり→つまるところ昨今紹介されているような(所謂素人資産家向け)「サブリース的アパート経営投資的な話」は論外になるだろうと思うワケです。
posted by iwahara at 17:37
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売買や賃貸の話
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