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マンション空き家率、世田谷で12%超 それでも止まらぬ建設
http://www.j-cast.com/2017/01/02287174.html?p=all
(一部抜粋)
ニッセイ基礎研究所・金融研究部不動産市場調査室の竹内一雅室長が2016年10月27日に公表したレポート「図解 あなたの隣の家、実は空き家かも? ‐都市別・エリア別に空き家率を見える化してみた‐」によると、都区部で最もマンションの空き家率が低いのが江東区の3.3%。最も高いのが世田谷区の12.8%だった。
(中略)
また、世田谷区に次いで空き家率が高いのは、港区。千代田区や中央区、新宿区、文京区などが続く。「職住近接」と利便性もよく、ハイソサエティーなイメージがある都心部でも空き家率は高いようだ。一方、目黒区や豊島区、練馬区、葛飾区などは、マンション空き家率が低いほう。「人口増加率の低い区の中には、住宅建設が活発に進まないため、空き家率がさほど上がらない区があるようです」という。
みなさん残念に思うかも知れませんが
■需給バランスとして空室率が少々変動しても簡単に賃料は下がりません。
理由は簡単です。不動産投資として負債を抱えつつのパターンは少なくありません、返済とのバランスで確実に赤字になってしまうなど、ズルズルと引っ張っても悪循環にしかならないのであれば意味が無いからです。
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ある種の不良債権化してしまうの意です。
(飲食店経営で考えてみてください。お客さんが減ったからとメニューを激安にした場合で「最大回転率で計算しても店舗の運営経費が払えない場合」経営者として「その手はまず無理」と誰もが判断しますよね。)
あくまでも典型的なパターンとなりますが、
■賃料が大胆に下がる事が可能になるプロセスと言えば、
「損切り確定のため投資物件を売却する→市場を反映した安値で購入される→購入価格と借入金などの関係から大幅値下げした賃料でも黒字利回り計算ができる→安値の募集が可能となる」
極論ですが「一度オーナーチェンジしないと投資案件として正常化しない」のです。
タイムラグが必要になりますし、全ての大家さんがドライに資産デフレの評価を受け入れる事ができるワケでもありません。
結果としてかなり長期間空室率の高い地域が(賃料相場も大きく変わらないまま)そのまま継続するパターンのが多いのじゃないかと。
上記事情から、不動産資産の流動性の高い「都心部の分譲賃貸のが空室率に対する賃料のレスポンスが高い」ことになり、昨今顕著になっている都心部への人口移動がより加速する。
そえからいよいよ限界を迎えた郊外の相場も変動始めるという流れです。
資産デフレを止めることは(インタゲ政策を掲げている)政権の経済政策として避けなければならない問題です。需給バランスを無視した不動産開発だけは政策的に抑制しなければならない筈なのに、この失敗を何回も繰り返してしまうというですね、、。
世田谷区に関しては以前から売買関連コンサルの時「(供給過剰を憂慮し)リスクが高い」と説明してきている地域だったのですが、今回の報道でやっぱりかと思いました。
過剰共有は分譲マンション所有者世帯にとって大きな資産リスクになりますが、自治体で行える都市計画などでそれを抑えるにも限界があります(やろうと思えば条例などで新築着工遅らせる手法あるかもしれませんが)。
●少子高齢化時代における需給バランス改善策は「一戸あたりの床面積の増大」に尽きます。
財務省は(ローン関連の減税や金融業界への新規融資補助策では無く)新築開発を絞り、間取り改変リフォームや入居戸数減の建て替えなどターゲット絞った投資誘導策を考えるべきで、漠然と(内容に関心無いままに)不動産開発を歓迎するようなやり方じゃいかんでしょう。
政権としても「このまま賃貸物件の需給バランスの問題を放置していたら(資産デフレがまた起きますから)インタゲどころじゃありませんよ」。大胆な対応策を考えるべきです。
■『住まいの心理学』において何度も指摘していることですが、
住宅関連政策は「あまりにも不公平」でした(新規購入者には減税などの補助金がついても賃貸住宅生活者には何らの支援も無い)。
大規模な「賃貸住宅世帯への支援策」を導入するべきです。
そのまま賃料補助という手段もありますが、最も簡単なのは「賃料の一部を経費と認めて年末調整で還付する減税策」だと思います。
消費拡大効果というだけで無く、賃料の一部に公的保証を付ける意味もあるので不動産の流通も活性化する可能性あります(広い部屋への住み替え)。
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