前回のレポートでは
「こんなお部屋が空室募集されるかもしれない」
的なところまでのお話でしたが、
現段階の情報としては
「こんなお部屋を賃貸する上での条件が現実的に検討されている」レベルでのお話になります。実際には既に情報レベルで一番手の内見されているお客さんもいて”公開募集まで空いているか?”は確約できないところです。
築S41、東武東上線上板橋9分、92.53u、2DK+スタジオ+S+作業場+土間
何故かといいますと、それだけ「賃貸条件の内容がいい」からです。
今回は『前衛的な大家さんの斬新的な契約』が副題だと思っていただいてOKですっ
さて、その斬新的な契約とは如何にっ
前回レポートには無かった物件外観から内観まで紹介します
(デフォルトリフォーム前の画像ですよ〜)
1階作業場
実にいい味出していて『工房』的なイメージです、
奥にはトイレと洗面仮眠可能な3帖間
(賃貸条件的にはここまで店舗として改装可能)
正面土間
ここから2階住居へ
この住居部分が素晴らしい
間取を見てください。単体で見ても「横玄関・センターキッチン振り分け2DK」という理想的な間取なのです、
ちょっち退出直後なので絵的にもバタバタしている部分ありますが
リフォーム計画的にはシンククリーニング、キッチン床をCF、壁は室内含めて白へ、キッチンの後付け造作での作りつけ(現代の身長の人にはちと使い難い)棚の撤去等が予定
正面の居室
奥の居室
(エアコンは前後に2台)
ここからが面白いところなのですが
特注かな?と思われる鉄の玄関扉状のドアがあって
どうみても外階段(幅60あるかないか)が3階に伸びています
(ハイ、3階は増改築部分なんですね)
この辺の設計内容には厳しい部分もあるんですが、3階部分を”離れの別室”的位置付けとする効果はむしろ高いところもあります。
3階スタジオ
ハイサッシュの明るいスタジオ
使用パーツのクオリティーはそれは高価なものじゃありません。壁の仕上げはメラミン合板ですし(一部結露の関係で剥がれている)、床材も決して高級じゃない。
(改装計画的には壁にベニアを新たに貼り付けペンキ塗り仕上げの予定)
しかし、この開放感には特別なものがあります、
照明も既設のものは撤去・ソケット再設置の予定
エアコンは設置可能(設備としては設置無し)
特徴的なのは”ビューバス”で、
(バランス釜のクオリティーは上級・埋め込み給湯にも改装可能なタイプでしょう)
なかなか景色も爽快
さて、これだけの店舗付き一戸建てが賃料ベースどのぐらいで賃貸するのかと、
今回はこの条件的な部分も細かくコンサルする方向で検討されています。
非常に前衛的な大家さんで「これまでの賃貸の問題を完全に覆すような斬新的な賃貸条件を希望」な方なんです(笑
そもそもご自身、事業契約の解約時に納得のいかない経験が過去にあり、そんな経験から「自分ならこうする」の延長で”大家さんにまでなっちゃった方”で、
又ご自身がDIY派なる経歴から大家業の傍ら設備工事関係業者さんとの人脈が深く=設備管理会社の機能を大家業の部分に実装されているので、
つまり「何でも相談可能」なスーパーな弾力性を持っている方なんです
さてコンサルする立場としては、「何でもアリでありながら、如何に”同時にリスクも回避して資産保全性を担保する契約方法”を考えるのか?」という難題となるのですが、
この物件の素性が『事業物件である』事に着目して、事業物件における「複数契約方式(店舗利用・飲食の場合・事務所契約の場合等でそれぞれ条件が変わるタイプ)」を参考に、ちょっと今までに無いタイプの契約方法となる事がほぼ確定しています。
概略は以下(ここからが長い話になりますよーー)
@「自由に改装可能:事前改装は最小限(破損個所等は点検補修)」→借主の改装資産を保全するため”定期借家7年”という長期契約として、事前改装最小限部分を『考えられないぐらい格安の賃料とする』として反映(賃料の安い部分は”長期契約”とする事で空室リスクの回避から収益性の保全)。
ここは法的な側面を詳しくない方もいらっしゃるかと思いますが、
定期借家契約は「解約権はあるが特別な理由が無い限り認められない」ものなので、表現は微妙になりますが「えーなるべくその契約期間満期でお願いしますね」が前提になるものです。
自由に改装可能な場合の最大のリスクは、貸主側の意志で解約となり(借主内装を利用して)以前より高く募集なケースであって、投入した改装コストを回収できない不安となります。
※ここの貸主からの解約には、借主保護の法令規約もあるのですが、このような話は無いじゃ無いのです(事業物件の具体事例を私知ってます)。
ここが「通常賃貸の部屋で改装可能な部屋は無い」のベースとなる部分。
※リノベーションは一般的には分譲で中古物件を購入して行うもの
そこを、今回「7年の定期借家、更新権1回(3年)、事実上10年間の契約権」を仮想する事で、自己造作の減価償却を契約によって担保できる内容(暮した期間で改装投資コストを回収できる)を考えたって事です。
家主側から見ても、借主が改装を業者に頼んでもDIYでも”失敗リスク”も少ないし、中途半端な改装で失敗するリスクも低くなります。
狙いは「賃貸と分譲の中間のような契約を考えてみる」で、
出発点は10年後の購入権までシミュレートしたぐらいのアイデアになります(家主さんから物件を大変気に入っている事と、将来の利用計画あるかもとの事で『借主優先購入権の話は現在無し』となってます)。
A「一般賃貸希望:貸主改装は大規模に」このパターン(通常の契約方式)では、保証会社利用をスタンダードとして敷金を低めに設定『中期契約希望者向け』とする。
トータルで言うと、上記@の契約の自由改装の部分を”家主さんお任せ”とする分の改装費用が分割払い的に賃料に上乗せされる的概念です(賃料は近隣相場に順ずる)。
B「店舗利用事業契約希望」可能と(ここは通常の事業契約のように店舗の場合、飲食の場合、事務所の場合SOHOの場合等事前にある程度の条件を事前に決める)。
全体に共通の”相談可能条件”は「ペット可」「ルームシェア可(しかもルームメイト方式:メンバー入れ替え可:届け出必要)」「店舗可」「改装可(原則@Bの場合ですが内容によってはAでも相談可)」
※自己補修用に壁塗りに使用した「補修用ペンキ」を一部支給
■改装に関しては大家さんが=工務店的人脈アリで格安に工事検討してくれるとの事なので、直接大家さんに相談する事も可能
想定賃料は@で12万〜13万(デフォルトの改装内容による)、Aで15万〜18万(内装グレードによる)B16万〜
総床面積で約100uありますから、この広さを使いきれる人には”ウルトラハイCP”言うまでもありません。
コンセプト的には神楽坂のイカに似たところもありますがっ
http://retour.seesaa.net/article/1909769.html
(物件のスケールが全然違うのでちょっと比較にはならないですけど)
こちらはイカというより『矢印↑』って感じの縁起のよさげな形が特徴
レポート中でお話したように、「既に一番手内見の方」が存在するので公開募集前に契約終了の可能性もあるのですが、
特に格大家さん・管理会社さんに『こんな契約方式どうですか』検討していただけないでしょうかね〜
借りる方も貸す方も幸せな形になる方法があると、これを諦めずに追求してこそ社会性ってものじゃないでしょうかっ
契約の詰めなど「それは大変(笑」ですが、十分な説明と合意があれば不可能じゃありません。様々な点で難しさもありますが(パッケージになるまで詰めればよりスムーズになると思います)、その価値があると思います。
こちらの物件は、単純に売買としては一般の方が買いにくい部分あるんです(旧法借地権ですし更地じゃ無い上、上物の築年数的にもかなり古い)
「資産リスクは大家さん」→「一般の方がなかなか買えない分格安な賃貸として」→「格安の賃貸でも大家さんは賃料で資産リスクを引当」→「古築物件を再利用する環境に優しい不動産利用」→「一般の賃貸における不自由な部分を複数契約方式により可能とし」→『新しい賃貸の形とする』
これも全て斬新な大家さんあって実現したもので、
「東京にひとつしかない事例」のひとつです。
どーですかいい感じの絵です
ちょっと見NHKアーカイブス『昭和・工房のある風景』とかみたい
(次回は@パターンの改装後レポートを予定しています)
2008年06月15日
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