「東京は賃貸物件の賃料が高いです」
これは損か得か?
そして「東京の賃貸物件は非常ーーに戸数が多く、バリエーションが豊富です」これはどっから見ても得です。
「東京の勤労者所得はは高いです」そりゃそうですね、ついこの前のデフレ不景気でも東京のハローワークには求人がどさっとあります。
ここから見えてくることがあります。
地方は1戸建て天国ですから、賃貸はある意味マイナーで、シングルライフの生活者も東京より少ないです。不動産会社としても土地の売買や建売なんかが「らしい業態」で、需要もそれほど無いですから賃貸は自社物が中心です。実際の話、賃料が安いので=仲介手数料だけではとても収益があがりませんから東京のように仲介によるお部屋探しは難しい側面があります。
東京の不動産会社にしても、自社物の紹介なら担当営業の売上は二倍ですから通常は俄然力が入るところですが、なだらかに業界全体で見ると(国土交通省の狙いも同じです)「お互い様」で仲介し合う事で(必ず自社物の案内を立会いでする管理会社もありますが)、「自社物は契約事務だけ」なんですから、よその業者さんに物件紹介や内見の案内をしてもらう仲介は、自社管理物を持つ元付け不動産会社にとってもありがたい話です。(仲介のために有料で他社物件を宣伝する業者もいます)
自社物の管理がメインの不動産会社より、仲介営業に力を入れている会社は、地域、物件、管理会社の情報など、総合的な情報が集まりやすいです。
そうなんです、東京は賃料が高いので、賃貸物件の仲介だけでも営業が可能なんです。(イメージとしては問屋直売でも価格が変わらない商品の小売店。顧客ニーズなどが一番集まりやすいポイントです。)
つまり、広域で全ての物件からユニークな賃貸物件を探せるのは東京ならではと言えます。(売買も同じ事が言えるのですが、物件の選択肢は圧倒的に賃貸が多いですから、物件探しの醍醐味はやはり賃貸となります)
確かに東京の賃貸物件は高いですが、勤労所得も高いので『少々狭くなる事を覚悟すれば東京暮らしは“得”です“得”』。
折角の東京暮らしなんですから、この得なとこを取らなきゃ損です。
数が多いので、いろんな物件がありますし、交通のインフラの発達はとんでもないスケールなので、街の選択に迷うぐらいです。
「どこの街で、どんな暮らしを」
東京では、この選択が、選びたい放題です。
■つまり、選ぶ決断力と、選択のコンセプトがあると、それに比例して“得”部分は増加します。
ここをどう考えたらいいのでしょう、検索サイトにある「ペット可」などのチェックボックスの意味は何なんでしょう。数学です、数学、あのチェックボックスの組み合わせだけ物件のタイプがあり、それだけでも大変な種類です。
ここにパラドックスがあります。
つまり「自分が選択したチェックボックスの組み合わせ以外にどれだけの物件があるのか?」
@「どれだけの物件を見ることなく捨てたのか」
先ほどの何が“得”って話を思い出してみてください、凄まじい選択肢の数を誇る東京の賃貸で、、、。
ここに『最強の賃借人』という定義が見えてきます。
「1階でも可、バストイレ同一、堅い職業、アパート可、沿線複数、電気キッチン可、畳可、エアコン自力設置可、洗濯機置き場不要、ペット無し、ひとり暮らし、u数の数字に拘らず、礼金敷金2/2可、即入居可、非喫煙、築年数無限、、、、」
この問い合わせは私が一番苦しみます(笑
賃料の希望額があるにしても、この問い合わせに検索して出る物件の基礎数は、1000〜2000件(業者が使うサイト、レインズのダウンロード数MAX500の2回〜4回)になります。これがこのお客さんの選択肢の数です。
「いい部屋」って流布するマスコミ関係のキャッチのもとに、この可能性をネグッてないのかって事を、お部屋探しの前にチラ〜っと考えてみてください。
自社管理物の内容を市場の希望に合わせるようにコンサルタントするのは不動産会社の大事な仕事ですが、反対に入居者サイドのアプローチとしてはその逆を行けば「どえらい可能性を手にします」。金額では表現できませんが、実際物件探しを仕事にしていると、よくこんな台詞を耳にします。
「あ、これ和室だ」「あーあ、これ洗濯機ベランダ」「キッチン電気だ」「築年数が」、、、これ残念がってつい言ってしまう台詞です。
「入居してからどうにかする」ってタフさも『いい部屋を見つける近道』で、むしろ「どんな部屋を探しているのか」って内容を決めるために「様々な“抽象的”な希望=これこそ実は具体的“希望”」を教えてくれると助かります。
「閑静より都会」とか「山手線の内か外か」とか「アクセスの中心都市は?」とか「広さ重視かクオリティー重視か」とか、デザイナースと謳っていないのに下手なデザイナーズよりデザインセンスに溢れる物件もあります。そこいら辺は管理会社にもわからない時もあります。
かといって100件内見はナンセンスです、業者は天文学的な赤字になりますし(笑、、物件にはそれだけ個々に個性がありますから、お部屋を探している人がそうであるように、相性があります。なので、その相性を探す母数を沢山確保するのと、最初から選択肢を10件程度にしてしまうことと、、
絶対にこうすると得ってセオリーはありません。しかし、何か損してませんか?
初台から代々木の間に遊歩道があって、野良が住み着いています。初台辺りから歩いて会社まで帰る時には、彼を見かけます。
この人は部屋を探してはいないのですが、くつろぐその姿はどこか哲学的ですね〜、やたらと存在感があります。
お部屋探しって何だろうとふと思います。
2004年11月20日
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