ストゥデイオなんて言うとちょっと洒落ているって事で広告文句のひとつになるケースもありますが、高級な間取りって意味ではありません。
欧米なんかではこのタイプの部屋が「アパートメント(日本のマンション)」としては一般的なので日本の部屋は狭いなんて言われますが、世界的な相場から言えばuあたりの相場はロンドンがトップ(売買価格は日本がトップ)、日本が極端に狭いのではなく(礼金敷金制度のおかげで賃貸住宅の相場は安い)、このストゥディオタイプが少ないのです。
昨今の暮らしはほとんど西洋化されてしまっていますから、「寝具がベッドでTVはソファーだ」且つ非木造住宅の場合、本来ストゥデイオの方が効率的に暮らせます。
2×4以外の木造住宅は機密性の悪さ(反面風通しがいいのですが)から、冷暖房器具のカタログ見るとわかると思いますが、アパートで1部屋が極端に広いと効率面から温度の管理が大変なのです(※2×4の高級アパートは逆にマンションより光熱費が安く、一般のアパートはマンションの「熱伝導率の高さ」を考えるとどっこいどっこいでしょう)。
コンクリート系の建築においての冷暖房効率の致命傷は「熱伝導率の高さ(対抗手段は外断熱工法)」になりますが、これも直射日光が当るバルコニー部分(外壁)と室内全面積の比率から言えば「室内容積が広いほうが温度変化は安定的」なので効率性もストゥディオが上です。
居室だけ快適なら良く、DKやLDKの居住性がどうでもいいなら別ですが、、
弱点は「寝室が見られる」点にありますが、都会のシングルライフで頻繁な人の出入りはあまり考えられないですし(そのために街があるんですから)、インテリアとして優れているベッドも多いですから「寝室を別に」は二人入居から考えるのが自然で、シングルライフを考える場合マンションにおける“ストゥディオ”という間取りは優れものなのです。
(ちなみにストゥディオにはコンパクトなKで設計される1Kも含まれます)
日本では文化住宅の開発に始まり、アパートメントを一戸建ての縮小というイメージから出発しましたから、ちょっと広い部屋は「1DK〜」という間取りが多いのです。
現実問題『供給過剰』の賃貸にあって、シングルの潜在需要は『30u』なんだと思いますし将来的には、そこが8万円台に落ち着く事も可能なんだと思うのですが、構造的に間取りのギャップがありますから30u台の部屋というと、「9万円から」というのが昨今の相場です。
■前置き長くなりましたが、そーんなワケで「お得なストゥデイオはリノベーションで間取り改装されたもの(か、大手デベロッパーの新築)」になります。
ひとつの例として、数週間前に内見した白金高輪のお部屋を紹介しましょう。
物件概要です
南北線・三田線白金高輪2分、港区高輪1、管理体制良好、分譲マンション、事務所使用可、乾燥機・洗濯機アリ、エアコン、間接照明、2口ガスコンロ、バストイレ別、RC造8階建ての4階、築S53.5、30.77u1Rストゥディオ、賃料9万9千円、礼敷2/2
間取りとしては3点ユニットの方が効率的なのですが、変則的な配置にする事でこの部分の問題を解決していますし、図面に表示はありませんが、バスルーム扉部分に「玄関と室内を分ける扉」があります。
実はこのお部屋「元1LDK」なのです。
玄関寄りのスペースに狭い寝室、LDKという表示がどうなのかな〜な広さの窓側LDKという「ちょっとどうなの」な間取りを、ストゥディオに改装しているのです。
特徴の三角の窓部分ですが、ここは「ほぼサンルーム」と考えた方がいいでしょう。
こーんなマンションです。
時代より早すぎたデザイナーズといいますか、、入居者のみなさんはこの三角窓の処理にみなさん困っていて(笑
カーテンで中が見えない部屋がほとんどなのです。
しかし考えようで、このサンルーム部分は「そこまで行かない限り見られる心配無い」ので、極端に心配する事は無いでしょう。
天井の位置関係がわかっていただけるでしょうか?
設計者の意志は「三角窓部分はサンルーム」で、空間としてはその後からが居室と考えて割り切ってくらすのがベストです。
つまり、この部屋は「スペックよりちょっと体感の狭い部屋」というカテゴリーになります。このタイプの特徴は「取り回しの良さ」に尽きます。寝室部分リビング部分の区分けがとてもハッキリしていて(u数自体は嘘では無いので本来広い)、まとまった感じの安心感は「体感広い部屋」より上回ります。
三角窓から寝室方向
改装の内容としては床がCFだったりして、ローコストなんですが「雰囲気がお洒落」という素性の良さ、わかっていただけるでしょうか?
クローズアップで撮ってくれば良かったのですが、ドアノブなんかも真鍮の骨董みたいな感じのもので、このまとまった感と部屋のテイストはピッタリと一致しています、そして白金高輪という立地ですね。
レトロなのはドアノブだけではありません。
あら、なんて素敵なシンクなんでしょうーー
ステンレスじゃ無いんですっ
実はこれは非常に貴重で、昨今パーツとしても洗面で見ることはあってもシンクで見かける事はほとんど不可能な代物なのですっ!
水周りは間取り図の印象より、内容がいいのです
室内の印象ですが、既設の間接照明が実は非力で、「これだけだとちょっと暗いかも」なんですが、逆に言うとインテリアの間接照明を付加してちょうどいい感じで、このお部屋は夜の方が魅力的なんじゃないのかと感じました。東京の暮らしって言えば大半が「帰宅後→夜」ですから、必要以上に(時々事務所みたいなシーリングライトがありますよね)ガッチリした照明がついてない事がこのお部屋のイメージに合っていると感じました。
さてタワー型の再開発で(このタワー流行はちょっと問題なんですが、、)白金高輪も変りつつあります。シロガネーゼなんて言葉が以前流行りましたが、実際白金って(広尾から見ると)庶民の町で、白金台は目黒系・白金高輪は芝〜三田系とキャラが違っていて、本当の高級住宅街ではありません。結構賃料の安い部屋も多くて、最近の再開発で買い物の利便性も向上しているので、街としての居住性は恵比寿なんかより上ですし結構狙い目の地域なんですよ〜
次回は今回の白金高輪ストゥデイオを受けて、白金高輪のアパートを紹介します!