今回の物件は非常にレアなので通年こういうタイプの賃貸が存在するって事ではありませんので(区に1以下の出現度だと思います)、建築の歴史紹介的に捕らえていただけると面白いかなと思います。
個人事務所用途に特化して考えると先日紹介した新宿レポートの方が強いかなと思いますが、
http://retour.seesaa.net/article/127765040.html
非常に選択肢の限られる「ミニマルコンパクト系のRC造」が意外な街に存在したものですから、今回レポートとなりました。
(本気でこのタイプはレアです)
街は文系でお馴染み中央線、三鷹です。
画像中央の緑は太宰が飛び込んだので有名な多摩川上水で、最近は「ジブリ美術館」へのバスルートとしてお馴染み。
※実は同美術館は余裕で吉祥寺から徒歩なんですが、三鷹市のごり押しなのか、バスルート含めて都市計画として整備され専用のバス乗り場も整備されている状況です。流石に最近は海外からのアジア系観光客の方も「歩けんじゃないか」と三鷹から多摩川上水沿いを歩く人も目だってきていて、思わず「吉祥寺から井の頭公園ルートが近いですよ〜」と声かけたくなりますが、なんともこればかりはなのです(パンフレットには三鷹バス便なんでしょうね)。
三鷹駅はここ数年意欲的に開発が行われて、駅ビルロンロンだけでなく構内施設としてのショッピングモールや、無印キオスク等利便性は相当高くなってます。
分譲マンションの開発が相当勢い込んでいるので、その関係もあっての再開発なんでしょうね。
※規模は違いますが、荻窪っぽい街に変遷していくのかも知れません。
さて紹介の物件は駅南側の三鷹商店街方向
ちなみにJR三鷹駅の北側は武蔵野市になるので、一般に三鷹というと三鷹駅の南側を指します(ココ吉祥寺と同じ)。
絵的にはちょっと大きな街に見えちゃうかもなんですが、
実際は少々のんびりしたファミリー系の街です。
さて、この商店街の中心に今回紹介の物件があります。
物件概要
JR三鷹4分、三鷹市下連雀、RC造6階建ての6階、築S38、約18u(実測)1R、
フローリング、エアコン、風呂無し・トイレ共同
管理人日勤、共同ガスコンロ(有料)、事務所可、
賃料4万円(管理費4200円:水道料金月1200円)、礼敷1/1
間取りの紹介といってもごくシンプルなので何ですが、
こちら
コストパフォーマンス単体で考えると、近隣から風呂無し木造アパートが3万円台から存在したりしますが、
ミニキッチンも存在しない事務所系とも言える造りは「レトロRC系への趣味性」や「非常にレアである」等の希望に特化している方向けって感じになりますが、実際の造りとしてはこの相場でリアルにRC造は本気で少ないので、シンプルに有効床面積が広い使い勝手のよさを考えれば”普通にお勧め”の内容です。駅近で1階が量販店等のテナントって部分も利便性が高い、
築S38なのは「公団」だからです。
三鷹も他都心近郊沿線と同じように、基本は低層指定ですが駅周辺や幹線道路沿いは非木造建築も多い方には違いないのですが(むしろ農地の宅地転用をベースに開発が進んだ地域なのでファミリータイプの住居がバス便利用なんかで駅から相当遠い地域に拡散している)、まだまだ三鷹の地価相場的に民間でRC開発が難しい時代に高度経済成長時の国策として建築された物件のひとつって経緯です。
あまりにお馴染みの風景なので、上部構造が住居であることを感じさせないのですが、そんな自然さも歴史のなせる業なのでしょう。
都内でも同様の古築RCは数が少なくなってきていますし、
同時に風呂無し物件ともなれば、コンセプト的には銀座の奥野ビルに近いものがあって(趣味性はかないっこないですが、、)
http://kagewari.blog.smatch.jp/blog/2007/05/post-a0a9.html
ミニマルコンパクト的住居として使うのが本旨かなと思いますが、
現代社会においては「セカンドルームや個人事務所」の位置づけでしょうね。
リーズナブルな2DKより、こんな物件と近隣6万前後の木造アパートをセットで借りて書斎と寝室を分離するってライフスタイルも粋な選択だと思いますよっ
※しつこいようですが、同じような風呂無しRCタイプを探す事は基本的にほとんど不可能なので(レア度的に)、通常は「木造アパートを二部屋借りる作戦」として考えてください。
東京の生活も勤続10年超えて「そろそろ引越し」って時に、まんま新居を探すのではなく「もう一部屋借りる」って作戦もありますよって事です。
ライフスタイル的にあり得ない場合はナンセンスですが、コスト計算的には断然一部屋追加の方が得:但し光熱費の基本料金が被るのでセカンドルームはガスの契約をしない等工夫の余地はあるでしょう(ネット回線はイーモバイルなんかをうまいこと使えばモバイルの他に固定回線も引けるのでそれほどコスト高にはならないでしょう)。
2009年09月28日
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今やほぼ全室事務所使用となってしまった細川ビルも元々は3タイプ中で最も狭い部屋はシャワー室とトイレが共同
九段下交差点の今は無き野々宮アパートも小さい部屋はシャワー室&トイレ共同ですね
民間では他にパッと思い浮かぶ建物はありません。
青山三丁目交差点ピーコック上の住宅供給公社を91年夏に見ましたが共同トイレとシャワー室があったと記憶しています
渋谷3丁目の今は無き供給公社物件は分譲で本来は各部屋に浴室&トイレありました
民間物件で同類を想い出すには時間を要します。
ある意味現代社会にピッタリだったりする構成なので”共同住宅”に対する意匠(や企画)が文明論だった部分もあったのではと思わせますね。