えー正直忙しいといいますか、なかなか取材レポートを書けない環境にあるものですから今回は地味でありますが”使える情報”をレポートします。
カテゴリ的に「あれ?」と思う方もいらっしゃるかもですが、いえいえいどうして『分譲か賃貸か』を考えさせてくれるレポートになっている筈ですよ。
地域の相場なんてポータルサイトで検索すれば一発でわかるじゃないですか?
などと切り返されてしまうと身も蓋も無いですが、、
結構面白い話になってますので、お付き合いくださいな。
【さて本題】
「地域の賃料設定を簡単に想定する方法」
一番簡単な方法が『分譲・中古マンションの販売価格を想像してみる』です。
(時折賃貸なのだから賃料は自由にいくらでも設定できるのではないかと誤解されている方いると思うので、その誤解への解答でもあります)
賃貸というのは「資産運用や投資のひとつの方法」です。
簡単に言えば手離した方が資産保全や運用益として他の債権や証券が有利であれば不動産を手放すことが賢明になります。
簡単に言えばそれ以下の賃料となるのなら大家業を廃業して売却した方が有利なボーダーラインがあるという事です。
特に不動産所有で資産運用する事が有利なのは「インフレによる資産目減りが無い」ところです。
インフレ経済の場合定期預金などはインフレ率より高い金利じゃないと貨幣価値の下落に負けて目減りするのと同じ、土地資産はインフレに応じて価格も上昇するのでそこが保存されます。(土地資産バブルは更に別論議です)
しかし現代社会はデフレですから→貯金しておくだけけ金利0でも(物価が下落=貨幣価値の上昇により)資産は増え続け保全としても安全なので流動性から言っても「土地で所有しておくより現金で持っている方が得」な状態です。
デフレ時代の不動産資産というのは本来手離した方が有利(発端がバブル崩壊なので資産デフレでもあるんですが)なんですが、証券市場と同様に「下がるとわかっている状態で売りと考える人もいない」ワケでどこかで下落は止まります。
更に投機市場のような(所謂不動産バブル)では無く、実体経済にける実需を考えた場合日本は高齢化により人口が減っている上、高齢化晩婚化などで「シングルの部屋は述びる」(そういう意味では人口は減っても世帯数は増えるかもしれない)予測はありますが、ファンダメンタルとしては『供給過剰』であり、東京地区でも住居・オフィースの空室率は実質で5%前後に達する筈です。
(賃貸としても利用されていない空き家も加えれば10%超える可能性あります:日本の都市部全体で15%近いと主張する評論家もいるぐらいです。)
つまり元々からして不動産投資に向いている環境では無いワケです。
(昔からの大家さんの場合、資産が大幅に目減りしている事になります←高い時に売却して定期預金・債権や証券投資に切り替えてた場合と比較した時の損益)
しかし資産デフレで不動産価格が実質「底値状態」なので、
『新規に不動産投資を始める人』には今が有利であり、同時に現在は0金利政策で(本当は物価下落よる逆金利というか物価下落率分資産は増えているんですが)低利回りであっても高い利益率になります。
(これが不動産投資が人気の理由)
ちょっと話が長くなってますが、
えーつまりですね、『中古マンションなどを購入して分譲賃貸として貸し出している部屋』が地域の『賃下げ相場を引っ張る傾向』にあるんです。
これが「地域の賃料設定を簡単に想定する方法」なのです。
■『中古マンションなどを購入して分譲賃貸として貸し出している部屋』の賃料の決め方
中古マンションを購入して賃貸住居として運用する場合、利回りから逆算して賃料設定するとまず(不動産価格が下げ止まりか下落傾向なので)周囲の相場より安いため入居率も高いってなぐあいで、それほどクリティカルに相場を調べなくても簡単に賃料を設定できます。
「利回りありき」で考えるんです。
↓
額面利回り7%:最近の賃貸相場では標準的な数値でしょう。
額面利回り5%:堅いとも表現できますが”低い数値”でしょう。
(利回り10%超えるのは資産価値が大幅に下がった古い木造アパート一棟売りや不動産価格が不安定な”地方”や”郊外”の場合で←元本リスクが高くなれば利回りも高いと、ここは債権や証券投資と同じでです)
※以前不動産投資する時の利回りの目安は10%でした。後段の説明読んでいただければ「額面で10%無いと厳しい」という状況理解いただけると思います。つまり現在の7%がいいところという状況はかなり『借り手市場』という証明です。
注)購入や新築賃貸だけではなく、通常の賃貸も大規模リフォームなど融資を受けて運用するケースが多いですから上記の利回りは表面上であり、購入の場合で言えば購入時の銀行借り入れ金利をマイナスして初めて所得となり(小規模修繕や空室リスク分も引き当てなければならない)実際の利益はほんの数%となります。
↑
賃貸住宅を”賃料”で考えるので「なんだか損」と思っちゃうのです。
賃貸とは『住宅ローンの金利程度で長期利用を設定できる権利』なので、それが何%の利率で自分は借りているだろうと考えれば「賃料は支払うだけ損」なんて考えにはならないでしょう。
(「賃料は支払うだけ損」なんてのは分譲やっている営業店のセールストークですよ)
『実態を示す例としてとてもわかりやすい記事あります』
↓
不動産賃貸は節税どころかお金が回らない
http://news.livedoor.com/article/detail/5384885/
記事中に出てくる『損失の相殺』という話は更に以下を参照
譲渡損失の繰越控除の特例http://allabout.co.jp/r_house/gc/25904/
注)価格が億を超えるなどスケールそのものが大きくなれば利益率も後退(減衰しても率で見るというより額で見るって感じですね)するので一等地や一棟買いの○億円などの場合には5%でも十分な配当となります(○億の5%っていえば大変な額になる)。
話は戻りますが7%を標準に考えた場合、こういう計算になります。
●利回り(の%)=賃料年収÷購入価格
つまり1000万で購入した1Rを6万で貸すと→額面約7%
勿論分譲マンションであれば管理費や修繕積立などの固定経費がかかりますから+固定経費となります固定経費を仮に2万とすると6万円なら実質所得は4万となり=約5%
ザックリ言えば1500万で購入した1Rなら賃料9万で額面約7%で(固定経費3万想定だと)実質約5%といった感じです
注)前述の「億を超えるケース」の反対で格安の1Rはそれ自体資産価値が低く(不安定)同時に需要母数も多くなるので、もうちょっと高い利回りで運用されるのが一般的でしょう。
↑
(勿論管理費と修繕積立は各マンション違う上に購入時の内装が”現状”であればリフォーム無しで貸すこともできません←購入する物件によって収益は大きく変化します。)
ですから「この街で2DKのマンションの賃料いくらぐらいかしら?」とは、
=「この街で中古マンションは幾らぐらいかしら?」とほとんど同じなんです。
■「室内造作もリフォーム後の2DKなら2500万ぐらいかな〜」
この場合賃料は→賃料14〜15万前後って事です。
ちなみにファミリー向け中古マンションの”産地”でもある東陽町辺りで最近は2500万で3DKぐらい買えます。
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となるので中古マンションの母数の多い地域は賃貸も安かったりします。
(東陽町は実際に2DK〜などの賃料が安い)
勿論投資を考えれば額面でも実質でも木造アパート一棟買いが有利となりますが→根本的に耐用年数が短いので”いってこい”となるため⇒読みの堅い不動産投資では木造アパートを一棟買いして10年〜12年所有して利益を確定させて売却すればよい、となりますが世の中そんなスムーズな話ばかりじゃありませんから、あくまでもこれは想定です。
(不動産なんてものはいざ売却と考えても何年も売れないなんて普通にあるので、早期売却=指値を受ける=希望価格をぐっと下回るのであって、現金化したい時にいつでも現金化できるような流動性はありません。簡単に言えば早期売却しようと思えば思うだけ安くなるって事です。この点も債権や証券の方が流動性ははるかに高い。)
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更に何にも増して空室率が高くて賃下げなどの入居キャンペーン無しに部屋が埋まらないなんてことになれば目も当てられません。
(※空室率は物件に依存するというより管理会社との取引態様(取引形態)がおっきいんですけれどね)
■勿論例外事項もあります。
(この話が前述の説明に大いに関係あるのです)
特にretourのブログでは都心部におけるコストパフォーマンスの高い物件のレポートが少なく無いですがこれはどうして”あり得るのか”という話です。
<なんと今回の話はここから本番です(笑>
↓
「てことは評価額が安ければ賃料も安いって事?」
おっしゃるとおりです。
公道との接道が無く『再建築不可』の土地であるとか、
開発の歴史が古く『旧法借地権』の土地であるとか、
『旧法借地権』はヴィンテージマンションの一部にも見られます。
ズバリ=都心部には賃料計算のファンダメンタル自体”例外事項”の物件が混在している。
(数は多くありませんが都心近郊にもそういう事例は散見されます)
”例外事項”には上記のような合理的根拠があるのであって(不動産価格の背景)賃料設定が低くなっているもので、一般的な賃貸物件の賃料設定下限ではありません。
仮に「賃貸における掘り出し物の可能性」があるのだとしたら(賃貸で暮らす人には土地の権利関係は全く関係ありませんから)そういった特別の事情があって構造的に賃料設定が安くなる「地域のオンリーワン」を見つける事なんです。
(一般的な希望条件だったり、築浅フラグがあると構造的に射程距離に含まれない。)
一般的な賃貸物件で仮に同じ賃料であれば(資産評価が比較にならないので)→賃貸経営を続けている事が経営上愚かな判断となり⇒「赤字スレスレや逆ザヤもあり得る賃貸経営を廃業し早期に売却など検討した方がいい」となります。
↑
ここで思い出してください。
「賃料は支払うだけ損」
あり得ないのですが仮にそうだとしたら?
賃貸経営戸数が後退(需要と供給のバランスで賃料も上昇)、売買市場も高騰し⇒「誰かが儲かる」話になってるワケです。
賃貸住居の社会性はきっちりと「流動性と情報公開」を確保して、実質的内容が評価される形(所謂健全な市場)の中で、貸す方も借りる方もファンダメンタルを理解してwin・winの関係で互いの合理性が均衡する事で、何かが得とか損って事では無いワケです。
※広告や風評の影響で「賃料が高くなる希望条件を”いい部屋”だと思い込まされている」のが”損”って話の実体なんじゃないでしょうか。
■計画的に宅地開発が新規に進む郊外には上記の様な例外事項が無い。あえて郊外の例外事項は「農地転用」などの開発局面で、これは分譲や賃貸における例外事項ではありません。
結論郊外は、純粋にバス便利用など不動産価格が十分に下がるところまで行って”普通に”賃料が安い地域まで離れないと格安にはなりません。
↓
それに比べて都心部は江戸時代から大都市ですから(なので都心には坂も多い)、現代的な区画整理が進んでいなかったり旧法借地権の商店街区画などは再開発は進みませんし郊外以上に昭和レトロな文化や商圏が温存され住環境として評価もされている。
何やら都心部の居住性はTPPにおける問題点みたいな話に似ていますね(笑
2011年03月04日
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