2013年03月02日

吉祥寺の事件と実生活における防犯性

今回の事件は(私にとって吉祥寺周辺は地元のようなものですし)被害者の方が今春上京の賃貸契約者の方だった事からもショックでした。
吉祥寺における大きな事件と言えば20年ほど前の井之頭公園の事件(未解決)以来ですから、今回の事件により治安上の不安が増す心配はありませんが(立川方面へ逃走とも報道されているもう一名の容疑者も早急に逮捕されるといいのですが)、今春から東京生活ビギナーとなる方や送り出す家族の方には心配されているでしょう。
東京生活における防犯上のポイントはHPであるとかスピンオフブログである『住まいの心理学』などでも折に触れて説明しているところですが、今回大きく報道もされましたので特集として詳しくレポートする事としました。

<『吉祥寺』及び様々な街の特徴>
(今回は事件が事件ですので具体的な街名を挙げた踏み込んだレポートとします)
注:レポート中でも記載しておりますが、東京都固有の犯罪発生率は必ずしも高く無く以下文中説明される比較件数の多い街などの表現はあくまでも「心理的に防犯意識に敏感」などの場合の参考となる指標であり「危険な街」を意図するものではありません。

吉祥寺は決して犯罪の多い街ではありません。
住居侵入窃盗などにおいて、DATA上の認知件数だけなら三軒茶屋を中心とする世田谷区が多く(女性の一人暮らしが多いという背景もあるかと思います)、このブログでも田園都市線のレポート自体少ないですが世田谷区を特別女性向きの街のような特集をしておりません。(世田谷は大田区同様東急系ですから神奈川などにに親和性のある方や駅郊外におけるファミリー戸建て等に適正のある庶民の街エリアと考えてます。)
発生率的には違法入国外国籍人口が想定される池袋繁華街から北(板橋埼玉に繋がる風俗街点在地域)が高く、街固有に言えば大久保・新大久保・鶯谷でしょう(この点は時折ブログでも実名挙げて紹介してますし風俗も多く一般常識としても街がら的に女性には向かない街と言っていいです)。
逆に任侠ヤクザ系の方も多く暮らす街ですが台東区入谷方面や浅草などは飲み屋街の喧嘩は多くても住居は安心で住居侵入窃盗発生率は低く(任侠ヤクザの方が違法入国系犯罪を抑止している点あると思います)、大田区も決して高級住宅街ではありませんが昔ながらの庶民の暮らし地域文化が犯罪を抑止している側面があるでしょう。
(大田区から神奈川方面エリアで固有の街的には町田が風俗メッカです。以前は蒲田にもその傾向ありましたが昨今蒲田は印象随分変わったように思います。)
文京区がダントツで犯罪発生率が低いのも皆さんご存知のとおりかと思います。
街個別の側面は、個別調査依頼時には勿論説明してきたところなのですがブログにおいて踏み込んで発言してこなかったのは誤解を招きやすい部分もありますし、事不動産においては風評によって誤った評価となる事が資産リスクに直結もしますので十分な注意が必要であるためです。数値が相対的に高いと言っても東京都そのものが(所謂繁華街でのトラブルを普段の生活で留意すれば)犯罪係数的に決して他県比較上高くない上に、住宅における犯罪認知件数はDATA上戸建てに多く(空き巣などの場合も物色するモノもそうですし侵入リスクと成果の関係性泥棒でも考えますから)、集合住宅・賃貸住宅における犯罪事例はあくまでも個別の問題であり「統計的に紹介することが似つかわしくない」という判断もあります(HPでは紹介しております)。ですから個別具体的な内容は調査依頼の中で該当地域が関係した時個別対応で説明してきたところです。
(数値的に戸建ての犯罪認知件数は集合住宅の倍近かったと記憶してます。)
■防犯意識や防犯性能に求めるニーズは結論『ほとんどが心理的側面であり東京を殊更心配するような数値は無い』←この判断に間違いはありません。
中央線エリアの犯罪統計も線路沿いに窃盗等の犯罪(自転車泥棒であるとか軽家財目的の空き巣)が集まる傾向ありますが、駅近で防犯性が落ちるのは人の出入りもそうですが『飲み屋街含めて繁華街が近い』点が専らとなります。
これはつまりエリアの問題というより生活習慣における「繁華街との関係」に留意する事が本旨であり、特定地域の危険性を意味するDATAと理解するのは少し違うという意図です。
(※この背景から専らこのブログでは街紹介的に「風俗・繁華街の位置関係などの説明」を重視してます。)

吉祥寺においても昔は井之頭公園に不良出没などの話も聞きましたが(公園内に交番できた経緯)、現在はそういう話も聞きませんし、せいぜいが「春の花見が迷惑」というぐらいです。
渋谷や新宿六本木のような若者のギャング的な”何”という話も無い街です。
前述のように『東京都の犯罪係数そのものが決して高くない』のは事実ですが、
■留意すべきは前述の生活習慣における『繁華街』からの流れになります。
(繁華街最寄りの場合には「深夜の帰宅時などに注意が必要」など)
まさかと思いましたが、
(現在逮捕されている容疑者が一部事件との関係を供述している報道を元に記載してます)
「容疑者が家出状況の未成年」と耳にした時真っ先に想定したのが(吉祥寺は渋谷や新宿のような不良がたむろするような場所が無い)『ネットカフェ』でした。
1カ月前に家出、漫画喫茶に滞在 ルーマニア国籍の少年
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/130301/crm13030113580013-n1.htm

<街の流れにおける犯罪と住居内における犯罪>
住居侵入窃盗犯罪と繁華街からの流れにおける事件性問題は完全に性格が違います。
空き巣は連休中の夜間やむしろ平日日中などの空室時が狙われるもので(泥棒も見つかりたくないのですし)、報道などで時々大きく扱われる入居者の身体の危険に及ぶ強盗は金品など予め狙われる背景のあるものです。
ですから不動産の契約では火災保険の中で窃盗などのトラブルが弁済される点により通常考えられるリスクはカバーされていると考えられています。
(室内で身辺の危険に及ぶリスクはほとんど無い事が経験的に知られているため。ここは地震保険が不動産資産に係る家主さんが入るもので、入居者の火災保険は通常地震保険無しである点と似ている側面あります。発生率的には身辺の危険に及ぶ侵入リスクは家主さんの家の方が高いため。)

しかし繁華街からの流れにおける事件性問題は、個別に狙われるという形になりますから住居の設備や性能がこれを防ぐ手立てとはなりません。
(対人感知センサーライトや防犯カメラなども狙いは空き巣予防であり、重犯罪確信犯がこれを忌避する事を予見するのは合理的ではありません。)
オートロックにしても特殊な設備となってない限り宅急便や事務所利用の部屋など、不特定多数の人出入りは容易であり(このブログでも再三オートロックには防犯性能は期待できずその性能はむしろプライバシーの保全機能と説明してきました)、高級マンションは別の意味で(金品の存在可能性)狙われるタイプになりますので、階層にも特別の偏差は事実上ありません。
希望条件の代表例に「2階以上」というフラグがありますが、警視庁などの統計分類は「低層階を1・2階」と分類しており(住居侵入窃盗などではその難易度に2階だから殊更の差異が無いという判断もあると思います)、同時に「1・2階で起きやすい事例と最上階が狙われる事例は違います」。「1・2階」は窓破りなどの空き巣が専らとなりますので仮にそういう事例があるにしても室内での身の危険に及ぶ可能性が高いタイプの犯罪と言えば違います。中高層マンションの場合には最上階も狙われやすいのですが、この場合狙いの意図は勿論「最上階入居者が一番所得が高いのではないかという予測」になります。ですから同じ住居窃盗でも「犯罪者が期待している利益の質」が違う=「犯罪者が覚悟するリスクがこれに比例する」事となり、オンボロ木造アパートの1階におけるリスクというのは見ようによっては最も安全な暮らしです、但し自転車泥棒や下着泥棒なんかの話は確かにあるように(外から聞こえる足音なども)心理的なプライバシー保全感というクオリティーの差異がある=オートロックの性能(プライバシー保全)。この点において「2階以上」というフラグは有効ですが、事実マンションなどの住居侵入窃盗の侵入ルートは「2階ベランダ」なども多く聞きますので(ブロック塀の上から入り易い)、「2階以上だから実質的な防犯性能が上がる」というものでは無いのです。
(※1階・家主宅敷地内などの小規模木造アパートなんかのが心理的にも実質的にも防犯性が高い)
(※賃貸住居においては「審査」も防犯性に重要な要素です。審査が甘い=入居者リスクがある事になりますから。バリっと外見の綺麗ながら必ずしも高級とは言えないシングル専用サブリース系の築浅マンションなどに審査甘いケースがあります。昨今都心の区条例でワンルームマンション建築禁止条例が施行されている背景も関係していると思います。)
(※女性における防犯性から1階NGは、重犯罪における実施的防犯性というより前述の「心理的要素や自転車泥棒や下着泥棒」そのものを指しているしるため有効な判断です。)

そして住居における防犯性能とは別個に切り離して考えなければならないのが、
『繁華街からの流れにおける事件性問題』であり、今回の事件が報道にあるように「コンビニから狙われた」というのが真実であれば、ここに相当するものに思います。
(所謂女性にとって最も危険性の高いストーカー犯罪や通勤通学電車における痴漢も「狙われて起きる」点から同様の側面あると思います)
この状況で犯罪を抑止するのは普段の生活上の注意がポイントになりますが、
思うに今回被害に合われた女性は仕事上の関係などで夜遅かったのかなと思いますが、繁華街を通過しての帰り道というところに隠されたリスクがあったのかも知れません。
(と、申しましても事件発生の位置は決して吉祥寺という街の中における代表的な風俗・繁華街では無く、今回の事件容疑者が地元で家出中の未成年という特殊な背景という想定外の偶然が不幸に重なったものとなりますので、被害者の方にはご冥福をお祈りしますとしか言えないです。容疑者が未成年であるため誰しもが注意する吉祥寺の街内における風俗・繁華街からの流れでは無く若干外れた若い人が多くいる方向で事件が起きてしまったのではないかと推定します。)

■繁華街からの注意点という部分から考える場合防犯性の見地は「必ずしも駅近が防犯性高い」とはなりません。
(注)上記ポイントは都心部地下鉄駅周辺の事では無く駅前繁華街などがある主に「郊外や都心近郊沿線駅」の場合です。)
前段で説明しておりますが、中央線の犯罪DATAも線路沿いに集まる傾向があり(犯罪者の逃走経路という点だけでなくそもそも犯罪者がその街の住民と限りませんから)駅近は空き巣や住所不定者にとっても「便利な駅近」に違いがないからです。
(ここは一度中に入ってしまえばオートロックは空き巣も衆目の視線から守ってくれるという皮肉な現象と被る点あります。)
防犯も意識した上での駅近希望の目安は徒歩6分以上10分以内(実徒歩目安9分以上12分以内)だと思います。これは何故かと言えば、駅近に自宅がありますと繁華街から一本入った裏道などにすぐ入る形になる事が多くなりますが、これに対してそれなりに徒歩距離ある場合には目抜き通りや交通量の多い幹線道路など賑やかなルートを暫く歩き続ける事になりますから、時間的に長すぎて(犯罪者側のリスクになる→この間に警察官の巡回やルート上に交番があるかもしれません)狙われ難い傾向ありますし、自然と深夜の帰宅であればバスやタクシーを利用する心理も働きやすいのです。

<まとめ>
賃貸住居に関わる部分のポイントは、
繁華街を除けば東京の犯罪係数は他府県比較で決して大きくない。
広告などで謳われている防犯性能はほとんどが軽微な犯罪抑止やプライバシー保全性能であり、そこを過信してはいけない(男性一人暮らしであれば特別な設備の無い古築木造低層APのが安全な場合すらある)。
希望駅の繁華街の内容、あるいは駅徒歩ルートなどが重要であり一度も乗降経験の無い(或いは内見時に街案内無しに)知名度から駅近条件で部屋探しすることは必ずしも防犯性と一致しない。
ざっくりとですがまとめです。

東京ベテランの方にはご存じの内容ばかりかと思いますが、
今春より上京されて東京一人暮らしなどの方、ご家族の方部屋探しの参考になればと思います。


posted by iwahara at 20:05 | Comment(0) | TrackBack(0) | 『街』 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする


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