随分とスケールの大きな話に聞こえますが、不動産の世界では聞いた事無いような額の取引があるもので、5億円で驚く事は無いんです。年収が5億ならプロ野球選手になってしまいますが、資産が5億なら(そんな運命の人もいるんです)アリそうな話じゃないですか、
なんてちょっと気の大きくなる話を例にして、売買のお話をしようと思います。
「資産」を「資本」として動かさないと「塩漬けのタンス貯金」と同じになってしまうので、ある意味この運用は使命みたいなものになります。何度かこの部分に触れた事がありますが、転売目的の売買は(ライブドア騒動の時にも話題になりましたね)市場の価格変動を利用して資産を動かしているだけなので社会的に貢献しているとはなかなか言えず、リスクも大きいので、ベテランの方以外にはあまりお勧めできません。
(頻繁に取引をして手数料を稼ぐ手口で利益を上げようとする不動産ブローカーもいますが、全く不毛です)
このひとつの形に「高利回りの収益(投資)物件」というカテゴリーがあります。これ実はジャンクボンドに近いもので、利回りは高いが資産価値が低いんです。ここが微妙なんですが不動産的にはこの利回りが資産価値でもあるので、「内容としては資産価値があるのだが実態は資産価値が無い」と言えばいいのでしょうか、、。
つまり、この収益(わかりやすく言えば家賃収入です)が高利回りって事は“その割り”に「土地建物の実態部分が安いから」です。
どいう意味かって、土地建物の不動産価値の実態が安いのです。
短期的には高利回りによって損はしませんが(極端に言えば10年ほど所有すれば「元が取れる」のです)、10年周期ぐらいの短期的な期間に転売していく構造は『単純に資金を高利回りで回した』で終わってしまうのです。
反対に利回りの悪い物件=収益に対して「不動産実態の価値が高い」のですから、利益は少ないのですが、長期保有しても資産価値は下がりませんから、ここを基盤に事業の拡大が出来るのです。(ですから非常に重要な事は「単に利回りが安い」のか「不動産実態の資産価値が高い」のか、見極めめです。)
わかりにくい話なんですが、、よーく読んでください。
売買には二つのパターンがあるんです。
短期的な収益を上げる(短期な回収するのも早いのでリスクも少ないのです)ための『高利回り物件』。
長期的な資産価値が残る『低利回り物件』。
これ、何に当てはめられるかと言えば、前者が分譲マンション、後者が土地付き一戸建ての世界です。つまり、分譲マンションのローンの返済期間があまりに長期だと、実態としての土地の面積が狭い分譲マンションは「元が取れない可能性がある」のです。
ですから、retourでは「けっして賃貸は損では無い説」を取っています。分譲マンションなら、返済プランで20年以上はお勧めできないって意味です。しかし土地付き一戸建てなら35年ローンもアリなんです。(よくある分譲マンションの宣伝文句「毎月の支払いが賃貸より安い」これはいかにも資産が残るような話ですが、残るのは老築による価格の下落した部屋だけで、長期化するほど最初の頃の部屋の希望条件も変わっていくのですから所有者として感じる価値も下落していきます。)
※「安い中古マンションを住み倒す」これは又別のジャンルなんです。(仮想賃貸とでも言えばいいでしょうか、「自分が大家」と言えばいいのか、、、)
さて、話を戻しましょう。
「利回りの低い物件=資産価値が高い=担保にして高額の融資が得られる」つまり(又ライブドアみたいな話になりますが)、
「5億の一棟売りを買って、これを担保に4億借り4億の一棟売りマンションを買う」この結果資産は9億円です。借り入れ額も大きいですが、次も資産価値優先で買えばリスクは大きくありません。
そして、ブローカーまがいの転売転売ではなく、長期保有して運用すれば社会的貢献でもあります。(オーナーチェンジは必ずしも入居者の利益にならないのです、この点は又別の機会にお話します。)
一例としてこの物件を紹介します。
渋谷区神宮前1丁目土地80坪の一棟売りマンションです。
位置は、明治通りと、原宿の駅前通りから神宮球場へ向かう通りとの交差点のブロックです。
この交差点それぞれどんなお店があるのかというと、
明治通りには
こんなお店や
物件の区画には
こんなお店
こんな高級物件も
原宿駅前通りから神宮球場への通り、千駄ヶ谷二丁目交差点近くには
はいサザビーズです
独特な落ち着いた街並みで知られる千駄ヶ谷へのルート神宮前1丁目で80坪なんてそうそうありません。千駄ヶ谷小学校なんかがある地味な通りなんですが、渋谷原宿神宮近隣のこの立地は、公示価格でも土地だけで2億1千の価値があります、ですから当然実質的な取引価格からすれば銀行の査定は相当高いことはわかる人ならわかる筈です。
これが物件です
オーナーチェンジ一棟売りマンション、RC7階建て12室、満室時の想定賃料2千7百23万円(オーナーチェンジを考え空室に対しての募集は行われていません)、千代田線明治神宮前8分、渋谷区神宮前1丁目1、土地264.49u(80坪)、所有権、地目:宅地、用途第二種中高層住居専用地域、建蔽率60%、容積率300%、延床面積868.90u、築1965.7(1981.6大規模回収)、価格5億4800万円
将来的にリノベーションに着手したりする事で、物件自体の収益性も大幅に違ってくるでしょう。
とにもかくにも売買担当の長尾曰く「神宮前1丁目でこれだけ大規模改修に成功していれば、絶対お勧め」です。
2005年05月13日
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ここまで予算は無いですが、この地区の物件を探しているのでコメントさせて頂きます。
確かに道路の弱い神宮前地区で容積に影響しない道路幅員、角地で70%の建蔽率は評価できますね。
ただ、賞味期限切れの旧耐震建物で満室時4%台の利回りはどうなんでしょうか? ほぼ同時期に建てられたコープオリンピアの様に駅前商業地ならともかく、当物件はあくまで住宅地で駅8分の物件ですから。
再建築するにも既存の賃借人を出す手間や取り壊しの費用もかなりの額になりますし、その間収益は無くローンの支払いだけは続く事を考えると個人的には割高な印象を持っておりました。
一丁目の再開発でこの辺りは化けるんですかね〜、でも留置所問題もありますし・・・。
長尾様「絶対お勧め」の一番の理由は何でしょうか?
「借金をして買う物件じゃないんですよ。」
あるいは同様の低利回り物件(又は元の自分の資産)による融資を受けた後の次の物件として買うんです、
つまり利回りが問題ではなく、銀行の評価が重要なのです。「担保価値の高さ」の価値です、
ですから、オーナーチェンジのために12戸のうち6戸が退出済みです。これオーナチェンジの時に“預かり金が割引部分”になる事も多く、(逆に)入居者が「なんとなく」次々と退出するケースがあり、建替えリノベ双方の可能性を考えて空室募集が止まっています。
その部屋をリノベしてもいですし、サザビーズ進出でわかるとおり、この通り「いつか名前が付きます」、その路面区画でで老朽化している千駄ヶ谷区民会館となり。
「この物件を担保に4億の融資」は、無い話じゃありません。利回りではなく、「借金無しで買い」「次の融資により購入した物件」との利回りトータルで融資の返済部分がまかなえればそれだけで、長期保有資産が5.5億から9.5億になります。(ライブドアがニッポン放送株を長期保有するかで、随分論議になりましたよね)
つまり80坪という(=大株主)の意味合いがあるので、投資の意味や内容が、「土地付き一棟売りマンション」=「土地付き一戸建て」と同じ構造になるので、
『一棟のみでの価格の高さ(土地の広さ)』が最も重要なんです。
「この地域で、これだけの価格の物件が、80坪である事に価値があるんです」「資産を移転する」ならリスクが少なく(信用性が高いので)、同時に20年後に9.5億の資産保有というスケールメリットが得られるとこが「買い」なんです。
※「収益性の高いマンション一室を購入=自分で住んじゃうと家賃の安い賃貸として最も得」ここから見ると、アンチテーゼの構造になっている事がおわかりいただけると思います。「アンチテーゼの構造が成立している=違う意味の価値が成立している」なんです、
“高利回りの国債”既にその国の財政は破綻寸前です。常に「高利回り=買い」そんな事はあり得ないんです。そして重要な事ですが、不動産は経営手腕でこの収益部分が大幅に変動するんですから、、
確かに神宮前・青山周辺は長尾様がおっしゃるとおり「借金をして買う物件じゃないんですよ。」ですね、まぁ、金利負担まで考慮すると物件取得後の公租公課、自然災害や自殺物件になるリスクを差し引くと借金して買いたくても利回り低くて買えないですからね。
でも大筋で当物件は「資産価値を買う」と言うことで私と考え方が同じであり、ほっといたしました。
後は価格の問題ですが、これはその時の情勢(今のようなヒートアップした状態)や売主・買主・仲介のそれぞれの立場で考えがあるでしょうから・・・。
とにかく、お忙しい中ご丁寧な回答ありがとうございましたm(_ _)m
一方的な収益性しか見ない開発の横行は、市場を不安定にするだけなのです。
(retourが安易に分譲マンションを薦めない理由でもあります)
丸の内の再開発は成功し、確かに活況に違いないですが、『構造的なミスマッチ』は未解決のまま残されています。(計画の甘い分譲は、その点で失敗する例すらあります。)今や潜在需要として「シングル30uの不足」「ファミリーではなく二人入居向けLDKタイプの明快なコンセプトの欠如」「ファミリー向け都心部3DKの不足」等が残されたままなんです。旧ファミリー物件開発地域では「昔のファミリータイプ開発地域の2DK供給過剰」「ベンチャー産業への格安事務所物件の未開発」等、こここそ不動産の公益性から見るなら重要で、「高齢者住宅の供給」についてや、物件管理として「保証人不要のシステムの運用(経営が上手ければ、入居者負担0にすることで、スムーズに以降が可能で収入の心配はなくなります)」、現行の問題点は山ほどあるんです。
公益性と、健全な収益は矛盾しない事を忘れてはいけません。株もそうですが社会的に成長産業であるから株価が上昇し長期保有されて、新興産業の財務体質が良くなるのが本道ですから、値動きに振り回されず、社会的な見地の方が重要でしょう。
さて値段ですが、今でも業界的には「坪いくら」「u単価は」で決まる事が多く、市場調査はレインズ等をサンプリングされて決まります。確かにオーナーの意向で強気の価格設定が行われる事もありますが、不動産売買は「オークション的側面」が強く(売買ですと「指値交渉」になることも多いので)、仲介業者は「落としどころ」を見極めて顧客にアドバイスすることになります。物件管理する側も現在の問い合わせ件数から売主に「乗るか降りるか」をアドバイスする事になります。
つまり、
常識的な事ですが、相場より内容重視で探せばリスクは無く、収益もあがります(物件資料の利回りではなく潜在的な収益性があるんですから)。
結局「見る目」が大事って世界はなんら変わりありませんよ。実際日本全国を見渡して売買なんて、、資産運用会社じゃないんですから、
大前提に『何処の街で、どんな物件で、どんな経営がしたい』これが優先されていいんです。
「甲斐」が無い事にはビジネスに成功しても幸せとは言えませんもの。
『勝ち組み負け組み』なんて幻想です、明快なコンセプト(目先の利益性に振舞わされず)と冷静な戦略、社会的見地の先に不動産経営が実存するのであって、マネーゲームは不毛です。
それこそ身に付かないですよ、、
不動産経営が不労所得なんて全くの間違いで、且つ取引される不動産とは公益性の高いものですから「その都市の不動産現況は、その都市の成熟度を表している」のであって、バブルなんて恥ずかしい話です。
人が住めなくなるほど不動産が高騰し、街が荒廃するなんて話もあるんですから。