さて最初に不動産投資の外郭から話を進めてみようと思います。
実際当社でも担当各人によって見解は違っておりまして「こうなら正解」というような答えはありません。まず重要なのは投資戦略として何を狙うのか明確にすることですね。
大きく分ければ「二つの方向性」になると思われます。
1)所謂日本の平均所得に将来的に辿りつけるような(購入時借入も視野に入れた)、年間所得額から逆算する投資(一定規模以上の部屋数を確保する購入)。
2)年金所得の足しになれば的に(国民年金支給額などが参考値でしょうか)「少額でも低リスクで借入無しで購入可能な安価な投資」。
上記二つの方向性の判断ですが、前者は結果として管理部屋数が多くなりますから一見高リスクに見えますが、賃貸運用的には「空室リスクが平均値に近づく」ため大家業的視点では低リスクなんです。
後者は購入に関して低リスクなのは文字通りですが、管理物件部屋数がどうしても少数になりますから、賃貸運用時「空室リスクの想定が難しい」となります、
但し、前者は仮に(物件固有の事情や改装含む運用ノウハウなどで)高い空室状況が発生した場合、借入金の返済がかさみ赤字転落の可能性もあります。この場合「金融商品投資であれば」損切り売却を含む撤退可能性も考えておかなければなりませんが、不動産の場合それは容易な事ではありません。
早期売却現金化が必要な状況はそれ自体が売却条件の弱さとなりますから、売却希望額が8掛け7掛けとなってしまう状況を想定しなければならないからです。損切りどころか倍損撤退みたいな形になってしまうという事ですね(そもそも運用の失敗があれば利回り含む事業性評価も低くなりますから)。
それに比べて後者の場合(私はこちらの判断を支持しているのですが)、
短期的には「平均空室率を織り込めない」厳しさはありますが、そもそも購入時に借り入れなども行っておりませんから、ぶっちゃけ空室が続いてもアンラッキーだと割り切って考えることもできます。管理戸数が少なければ将来自宅やセカンドハウスとしての運用が視野に入るのも有利な点でしょう。
導入でテキストばかり長文になるのもアレなので、賃貸における空室率の話は末尾に掲載しておきます。
てなわけで荻窪駅から物件レポート始めましょう。
西口北側からスタートです。

ポケモンが出るエリアなんでしょうかね(笑
スマホを見ている方が何故かずら〜と並んでおりました。
そんなことはともあれ青梅街道へ出ます

荻窪レポートは何度もやっているので読者の方には見慣れた景色かと思いますが、

青梅街道商店街を進み


四面道交差点を渡ります

物件概要にも記載のとおり八丁交差点を渡るとほぼ到着です

間取りは一般的なコンパクト系1R

間取りに関して特別説明必要な事項はないと思いますが、
投資向け購入の場合「必ずしも広ければいいというものでは無い」ことも忘れてはいけません。賃貸運用上重要項目の「退出時改装」このコストがですね、勿論の事内装業者さん発注時「u単価」となりますから、内容が優れたコンパクト系は貸す側にも優位なポイントになります。
【物件概要】
JR中央線・地下鉄丸ノ内線14分、(バス便八丁1分)、
■販売価格690万円(税込)
築1985年中古MS、RC造5階地下1階の4階、15.90u1R、
オーナーチェンジ(表面利回り8.69%・実質利回り6.82%)、
施工:徳倉建設、管理:穴吹コミュニティー、管理形態:全部委託、管理人:日勤、所有権、用途地域:商業地域
オートロック、H26リフォーム「エアコン新規交換・壁天井クロス張替・床フロアタイル張替・キッチン電気コンロ交換・浴室混合栓交換・廊下浴室他照明器具交換・木質部分再塗装」、駐輪場、
管理費4,100円
修繕積立4,920円、
固都税20,600円(H27度)
※司法書士:媒介会社指定
隣にコンビニ、クィーンズ伊勢丹(複合商業施設)7分、荻窪郵便局1分、
ロケーションはコンビニの隣の

テナントにドラッグストアの入っているマンションです

カチッとしたRCらしい某ブランドシリーズの物件となります

荻窪徒歩は実徒歩で15分以上になりますが(過去レポートのとおりで商業地でもある荻窪駅の特徴として住宅街の”いいとこ”は徒歩10分以上だったりする特徴もあり)、周囲の環境は抜群です。
ほぼ隣に近い郵便局の裏手は小学校で

その小学校の斜め裏側には公園もあります。
幹線道路沿いも気にならない閑静な文教地区な印象ですね。
過去レポートにある「ここだけ官民再開発となっている極端にいいとこ地区」も徒歩5分ちょいにありまして、

(ちなみにですが中堅規模の食料品スーパーは徒歩5分、上記画像のちょっと向こう側にあります。)
ここですね

そして、官民再開発のゾーンんというのがこちら(事業主体はURなのかも)、

ここが荻窪?ってぐらい”ここだけいいとこ感”のある空間となっておりまして、、

普通に「高級住宅街のそれ」そのまんまですね。

クイーンズ伊勢丹中心の商業施設を後ろからみた図がこちら

何故にここまで周囲の不動産環境を重視しているのかと申しますと、
株式における大口機関投資家の存在と同様に、周囲の不動産底地価格が安定するからなのです。
この高級住宅街が近隣にある事が、今回紹介の物件底地の安定感に関わってきますから(ほぼお隣に郵便局の大きな建築物や小学校があるのも同様)、売買物件購入時重要な情報です。
正直預貯金なるものが私にも存在したら「欲しい」と思う物件でした、ぶっちゃけ。
(ちなみにですが『住まいの心理学』でも時々記事掲載しているとおりで、個人的に私はマンションであれば「シングル・ミニマルコンパクト志向」なのです。)
オーナーチェンジで10年目安で賃貸運用し、大規模リフォーム発生のタイミングで(解約状況など見つつ)将来引退後の自宅として考えるのも悪くない。
賃貸運用として考えると最寄り駅から徒歩10分以上は考える要素ではありますが、荻窪地元的には普通の事だったりしますから、心配するほどのポイントにはならないかなとも思います。
■ほぼ毎年お伝えしておりますが、
8月は不動産業界も『お盆休み』に入ります。休業日は各社マチマチであるため、間違いなくどのお部屋も紹介できる状況を「今現在から考えると」8月中旬以降も物件調査は随時可能ですが(管理会社休業日により)内見から契約となると難しく「8月下旬から再開」なスケジュール感になります。
(ちなみに割安な『夏相場』はだいたいですが9月まで続きます。)
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■別項:『賃貸物件における空室率の考え方』
昨今の都心部平均空室率の話は、次回改めて詳細にレポートします。
今回は「個別単体の空室期間」についての説明です。
「何かの拍子で空室が半年以上続く悪夢は何故発生するのか」←この基本からいきましょう。
現代の不動産仲介は国交省の指導もあり、不動産各社の「自社管理物件偏重」という時代は過去のものとなり、他社管理物件の仲介も円滑に行われてくるようになりました。
こうなっくると、大家さんにとっての「入居者募集業務」は事実上”広告業”としての内容になります(実際の大家さんはここを見落としている人が少なくない)。仲介各社への成功報酬広告費の検討も重要になります。
しかし「何かの拍子で空室が半年以上続く悪夢は何故発生するのか」なる状況はかなり業界事情の物理的事情で発生したりするのです。
各業者には「所謂広告用の図面資料」を某社の有料広告チラシ的に業界各社に配布しますが(皆さんが不動産店舗のKファイル資料などでお馴染みの奴です)、この配布が週一回なんですね。
そして、一般不動産店舗の営業業務としてこの配布資料の整理がありますが、新しい資料から上に閉じて後ろの古い資料は捨てる事になります(資料管理のため全資料を管理会社に空室確認電話することは物理的に不可能)、その目安が各業者によって異なりますが1ヵ月前後かなといったところ(ちなみにretourHPの公開資料も目安1ヵ月掲載で自動削除のメンテナンスにしてます)。
つまり、空室1ヵ月で契約が決まらない場合、大家さんは(前述の広告は有料)チラシ配布などの広告費を別途媒介業者に支払い再配布を検討するべきなんです。
単純に資料の管理上管理会社窓口以外で誰の目にも触れない事になってしまうのです。
「ネットの広告があるじゃないか?」と疑問に思われる方いらっしゃるかと思います。
しかし、所謂ポータルサイトなどの不動産コンテンツ広告の制約率は「概ね5%以下」であり(圧倒的に資料集めなどの契約を前提としない問い合わせが多い)、同様の不動産コンテンツには「情報精度的に怪しい掲載(=客引き用の格安掲載)」内容の怪しいものもあります(掲載情報の正確性はどうでしょうね〜ポータルサイトによっては5割以下の場合もあると思われます)。
実際に内見から契約となる問い合わせは(ネット問い合わせで総合調査を行うretour的な業態は業界の例外事項なので)”一般的”にはいずれにしても一度来店してのパターンが多いと思われます。
その時、ヤフオクじゃないですが格安な順で表示された多数の物件の中から(情報精度的に怪しい格安情報がまたずらっと上位に並んでいるのですから)そのオンリーワンな掲載が来店会社候補としてヒットするだろうかって、かなり難しい話になると言わざるを得ません。
(繰り返しになりますがretourみたいな業態は例外事項なので)結果として、どこかの店舗に来店した顧客が、他の部屋の情報も見てみたいとなった場合、目にするのは「あのKファイルに閉じられた資料」となるのです。
また、来店のお客さんからしてそんな後ろのページの資料だと「もう終わっているのかしら?」ですとか「そこまで空室続いているのだから大丈夫だろうか」なんて考える人がいてもおかしくありません。
※地元業者で、時々資料持って周辺業者挨拶回りする営業もありますが、Kファイルじ閉じる営業業務からして「週に一度の配布資料を整理する業務」みたいに決まっていますから(場合によれば事務員業務)、挨拶回り先の業者が確実に新しいページに持ち込み資料を綴じてくれる保証はありません。
■この辺の事情を理解できていない大家さんで、某広告会社のチラシ広告を継続できない場合、
空室情報そのものが「誰にも伝わらない」なんて事にもなり兼ねないのです。
不動産仲介を半ば専業としている当社の判断としては「一ヵ月丸丸空室が続いた場合、次のチラシ広告を打たなければ半年以上の空室悪夢もあり得る」となるのです。
若干専門的になりますが、
「だったら媒介を専属選任では無く、”一般媒介”として、大家さんからが多数店に媒介回りをすればいいのではないか?」と思われる方いるかもですが、不動産各社にとって一般媒介物件はその段階で一段信用の落ちる契約となるだけで無く、同時に他社も自社管理枠で募集していることになりますから「今現在空室なのか」の確認すらままならない物件になります(部屋ごとに大家さんに確認しなければならないだけでなく、直近他社の申し込み状況もわからないので、いざ申し込み入れたがいいが二番手になってしまったなんて事も起きてしまいます→最悪申し込んでみたら某社の選任に契約が変わり契約できないなんてケースも)。
管理会社的にも””一般媒介”は一押しにできない媒介形態(取引態様)になります。
●逆に言えば「内容のいい部屋の制約は早くて2週間」というのもある意味同じ現象になります(Kファイルの上位のページに綴じられているのですから)。
新規募集の王道は「信用重視で一社に専属選任で委託し、契約時成功報酬広告費を別途設け、小まめに某社有料広告チラシ配布を管理会社に求め、所謂掛け値無しに最初から相場を踏まえた妥当な賃料で募集」に尽きるのです。