■不動産会社
どうも不動産業の業態には誤解も多いので、定期的に説明しておこうと思います。
元々不動産業は営業の時には「扱う商品が全部一点ものの小売業」で、物件管理の側から言えば「マネージメントや、広告会社」となります。
つまり小売り兼問屋でもあるので、家主さんが「広域で皆さんに情報提供して」と言った物件は「全物件どの不動産会社からも紹介できます」広告費は元付け会社へ、お客さんを案内して物件紹介をした会社には仲介手数料。お客さんの負担は元付けに行っても仲介会社に行っても、全く同じです。
元付けに直接問い合わせすると仲介手数料が安くなると思っているお客さんもいますが、これは間違いです。これは何故かと言えば、営業熱心な会社は当然営業店舗を持ち、自社物だけを取り扱うワケでは無いからです。この営業部門を独立した子会社だと思ってください。管理部にはオーナーから、営業部は仲介手数料、となります。
つまり、元付けはこの両方(仲介手数料と広告費)が手に入るのが理想なので、自社物を『お勧め物件』と広告しますし、店頭でも真っ先に紹介します。同時に管理会社の立場からは家主さんに「広告お願いしているのにあんた何やってるの、いつまで空室にしておくの」と言われたくないですから(物件を管理する事が、最も安定的な収入で、一番大事な事になります)仲介会社にも積極的に「お願いします」という立場にもなります。
唯一お客さんの負担が安くなるのは「貸主物件」です、これは何かと言えば不動産屋さんが自分で部屋を持っていて同時に大家であるケースです。しかしこういう物件は稀で、お客さんが自分でそれを発見する事はほぼ不可能ですし、礼金敷金が一個少ないとかと違いは無いのであり、極端に「損してたまるか」と貸主だけを捜し歩いてもナンセンスです。(貸主物件には、資金に余裕があるため仲介会社に「広告費を出すので、仲介手数料無しでもOK」という物件もありますから、そればかり気にしても不毛です。他に「広告費二倍」なんてケースもあり、気のいい不動産屋さんならお客さんの値引き交渉の手段にもなるので、仲介を使う方がトータルで便利だと言えます)
そして、一般のお客さんのイメージに駅前店舗に「掘り出し物が沢山ある」と思っている方もいますが、これも間違いです。「仲介手数料折半」という方法があります、営業としては辛い話ですが、つまり家主さんの広告費が無いので仲介手数料を元付けと仲介会社で50%ずつ折半する方式で、こうすると物件を流通に乗せる事ができます。
こうした物件は増える傾向にあって(それは学生で駅前店舗が賑わう時代の話で、今駅前の小さな不動産会社の集客がそれほどあるワケないですし、雑誌なんかに広告出しても有料ですから、広告費も無いのに広告するより、全国の不動産会社に紹介をお願いした方がいいワケです。物件の内容が良ければ営業費が半分でもお客さんに紹介してくれます。)、それでも尚この非流物件に拘るなら駅前店舗複数店を足で歩いて梯子し、こういう会社がなかなか紹介出来ない「流通専門物件を仲介会社に問い合わせする」というハードなスケジュールをルーチンでこなさなければならず、この調査の間に最初に見た物件が消えていくのですから「どうなのそれは」という事になります。大事な事ですがその物件を探しているのは「実質お客さん自身」に近いんです。
実際物件を所有している家主さんも「大家業」をしているのですから、空室が出たのに馴染みの業者に「紹介してね」では、安定した経営も望めないですし、社会的にも家主負担で広告する事が、部屋を探しているお客さんにとってもいいことでしょう。
つまり、つまりですよ。不動産会社を選ぶ事が大事なんです。retourにしても『他社と同じに』何万件でも紹介できます。
「元付け会社は地元に詳しい?」そうとは限りません、元付け会社の社員が全員地元出身なんてだったら大変です。(私も代々木のお店に在籍していますから渋谷新宿は「職場」ですが、生活の場は三鷹・武蔵野・杉並ですし、前職は地図屋なので東京東側にも明るいです)そして仲介会社は沢山の元付け会社との付き合いがありますから業者の情報もあります。(それなりに情報があるので)
何処に差が出るのか?ってそれは、時間です。設備店舗人件費、物件の調査から内見となると(会社によって差がでますが)トータルで概算1回あたり「2万〜3万」の経費がかかります、10万円の部屋なら3回(3件じゃないですよ)〜4回までの内見で『儲け0』、5回で赤字って感じです。高額の部屋の場合、取り扱い内容が高額になるので審査や調査取り扱いの信用問題があります(交渉事も多くなります)。
テレビ広告なんかをしている会社ならもっと利益幅は少ない事になります。
実際物件を探し回る手段は、業界情報や、業界に流通している図面情報と、インターネットです。ネットのメインは国土交通省の旗振りのサイト(業者のみ閲覧可)レインズであり、民間サイトです。みなさんも民間サイトのお客さん窓口ならご覧になっているでしょう(ここにも業者専門入り口があります、理由は「今の入居者に知られたくない値引き」や、「条件の緩和」「営業店舗が無く、お客さんに直接問い合わせされても困る」等様々)「探しまくったら徹夜した」なんてことある筈です、レインズはCSVファイルをダウンロードできるので、もうちょっと簡単に検索できますが、それにしても物件調査には時間がかかります、元付け会社もいくつもいくつも物件登録するのは大変ですから『登録を義務付けられているレインズに未登録』という物件もあるんです。
な の で 「この会社は熱心に物件を探してくれる会社だ」なとこに問い合わせるのが一番です。マルチに不動産会社を回るのが一番損です、不動産会社の営業にしても「よそで探すの?同じ物件出せるのに?」と、物件調査をするセンスを疑われた事と同じなので、そりゃ人間です物件調査の手も止まります。
これが業界の一断面です。
■築年数
「築3年以内」という問い合わせが時々ありますが、まさか「今日も建替え、明日も立替」なワケありません。建築に時間がかかる高層マンションなら尚更です。内装完全リフォーム(100万以上かかったりします)や、管理のいい広い物件を山ほどキャンセルして「あまりいい物件ありませんね」、これは違います。「築3年以内」って事はよ「ほどの事情ない事には引っ越す筈の無い築浅の物件から退出があった部屋」ですよ?物件に問題がある事は考えにくいですから、予定外に人事異動があったとか、住んでみたらコンセプトが違ったというケースに限られますから「最初から選ぶほど物件が無い」のです。
ですから、築浅を狙うなら広域で問い合わせしないと、自分の好きな間取の部屋はみつかりません。実際の話いっそ『新築』で探す方が、このブログで説明しているように(一気に空室を満室にしたいので)内容のいい物件を探せます。やはりここでもポイントは「広域」ですね。そこから、お部屋探しの傾向がわかってもらえると思います。「街に思い入れがあるなら築3年以内は、ある程度の妥協をしないと決まらない」「新築狙いなら、広域で探さないと選ぶほど物件が無い」です。確かに築浅物件は「内見の必要が無い分判断が早い」のは事実です(ブログでも優良な条件のひとつとして紹介しています)。逆に言えば「内見」するんですから、ここは判断できる筈なんです。
てなとこから、築年数の古い内容のいい物件こそ、プロの私達が「おおーっ」と思う物件なので「築3年以内」を聞くと、私は「もったいないな〜」と思います。賃貸なんですから、、「一度も誰も借りてないビデオを探す」ほどじゃないですが、どうなんでしょうか。先日紹介した物件のように「新築以上じゃないか?」という物件もあるんですから。
そんなワケで明日は代々木のマンションを受けて、新築マンションを紹介します。
2004年10月22日
この記事へのコメント
コメントを書く
この記事へのトラックバック