新聞テレビの報道でご存知の方も多いと思いますが、最近契約の時に必ず説明を受けるものがあります。
「東京ルール」です、
正確には賃貸住宅紛争防止条例(東京における住宅の賃貸借に係る紛争の防止に関する条例)です。
http://www.toshiseibi2.metro.tokyo.jp/tintai/310-0-jyuutaku.htm
実際これは何かというと、専ら敷金の返却についてのガイドラインで、借主の権利を保護するものです。
わかりやすく言うと「経年変化部分の原状回復を貸主が退去時に請求してはならない」とか「借主の汚損破損になる行為はどんなものか」等で、全体としては部屋の原状回復の費用を全額貸主に請求したりする事が無いように説明が行われます。
一見借主に有利の素晴らしい条例のようですが、全部が全部そうとは言えません。
これ、実際にある話ですが
「キッチンとバスルーム修繕の予定アリ、修繕の必要がない場合の賃料は5千円安い」なんてケースです。
短期間(2年乃至2年以内)の転出がある場合には、この敷金の返却を巡る問題は、引越しコストとして額が大きいため重大ですが、実際敷金の返却は退出後の立会いによるので、次の部屋探し(契約金)の一部に敷金の返却分を当て込むのは現実的ではありません。そして長期の入居を予定しているなら(6年から10年)家主サイドも十分修繕費分を引き当てる事も可能ですし、借主側も経年変化が相当進むので「経年変化と汚損破損の区別は不鮮明になります」現実に、上記の敷金を巡るトラブルが発生しやすいのは「短期引越しを繰り返す場合に限られる」事になります。
しかし(不動産会社に絶大な影響力を持つ)東京都の決定は重いものですから、不動産会社はこの条例に忠実に従う事になります。
家主は、敷金のほぼ全額を返却する事を前提に貸主負担の修繕費分を会計上積み立てる事になります。「毎月分の賃料からです」、当然これは賃料相場の上昇要因となるか、或いは退出後の修繕計画を大幅に縮小する事を考えます、何故なら「礼金の割引ではなく、競争相手のほかの家主も同条件だからです」。
つまり長期的に暮らす人の利益を損なっても短期的に暮らす人の紛争を防止するために「賃料が上昇したり」「部屋の管理予算が縮小します」から、『全体としてそのコストを負担するのは借主になります』。
借主保護の条例なのですが、運用を弾力的に行わないと、「全て価格転嫁されて終わり」になりかねません。
この辺の事情は、そもそも礼金敷金の存在理由そのものでもあるので、ここを説明しないといけません。
『礼金・敷金』
礼金は戦後の住宅事情の厳しい時代に生まれたという説がありますが、現行の存在理由は「2年契約の賃料の一部前払いによる毎月の家賃の割引」の側面が強く、背景の「2年契約」がキーになっています。
「2年契約できる」と考えてください、長期なので家賃が安いのです。敷金は預かり金なので、礼金は狭義の『契約金』のような存在す。マンスリーマンションの賃料が高いのは有名です、そして短期滞在のホテルの賃料はもっと高いのです。当然ホテルに礼金敷金はありません。
現在この部分を弾力的に運用するために、ほとんどの契約書に「特約事項」が、あります。業者によるルームクリーニングの承諾と負担などについてが主なものです。
一見大家業は不労所得で家賃などいくらでも値下げできると考えている方もいますが、これはほんの一部の家主の話です。部屋の大幅修繕に100万200万かかるのは当たり前で(賃料が10万とかのお部屋でですよ、この回収に何ヶ月も要します)「その部屋が半年空室だったら?」。又修繕やリフォームの資金が無く放置すれば、ジリ貧に家賃が下がりやがては賃貸住宅として利用できなくなります(一棟売りでなく、「アパート一棟貸し」の事業物もあるんです)。
ある意味『礼金・敷金』の制度は2年契約を前提のもので、且つ更新料は一般に1ヵ月ですから、長く暮らせば暮らすほど貸主も借主の両者が得をするシステムなのです。
確かに、賃貸にはマンスリーと2年契約の中間がありません。「短期の賃貸希望」或いは「1年ぐらいで引越しするかも知れない」に該当するのは海外主張や建替えまでの期間限定などによる定期借家契約ぐらいです。
東京ルール施行以来、この辺の試行錯誤は始まるだろうと予測されますが、今は「静観」というところです。
現実に起きている事と言えば、退出時の汚損破損の恐れ(汚損破損を立証できず、敷金返却で修繕費が全額負担になってしまう)から「女性専用」としたり、審査が厳しくなる傾向があります。
そして高級な部材を使った賃貸住宅は(修繕コストも高くなるので)なかなか建築するのに勇気がいる事になりました。
確かに悪質な請求をする家主や、不動産会社もありましたから、こういった業者には「東京ルール」は有効かもしれませんが、そういった家主や不動産会社がそう簡単に方針を変えていくのかこれも何とも言えません。
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ですから、『礼金1にダウン!』とかの割引はほんとに(プリペイド部分が半分になるんですから)得な話なんですよー(元々「礼金敷金が安い物件は=内容も悪い」事もありますから一概には言えませんがーー)。
(そして、空室が埋まらない時に礼金敷金より先に「家賃の値下げ」が行われる意味がわかっていただけたでしょうか。)
次回は「部屋の広さと間取り」についてです。
2005年02月25日
2005年02月24日
お部屋探しのポイントについてのお話です。
◆特に東京には相場があるようで(あるんですけど)ありません。
その背景は『リフォーム』と、問い合わせのミスマッチがあります。
RCマンションの問い合わせには「築年数10年以内」非常に多く耳にします。しかし実際その語源の出所は、大手不動産会社の宣伝や、民間サイトに多く見られる築年数による検索です。
実際物件のキャラクターとして築年数に意味があるのか?
この答えは「当たり外れが少ない」事ぐらいです。
これは=「管理会社(不動産会社)や家主の管理の影響が少ない」からです。「ついこないだまで新築だった」んですから。
それ以外現実たいして意味はありません。あるとすると
「これしかも築浅ですよ(営業トーク)」
「築年数が浅いのがいんですけど(物件知識的のプロではないのに)」
この組み合わせで『賃料が高い』事です。
(何度も触れた「新築の優位性」はこれとは別個の話なんです)
「築10年の管理のたいしたこと無いマンションより、築30年の管理体制のいいマンションの方が内容がいい」なんて事しょっちゅうなんです。
しかし「築年数10年以内」に拘るお客さんは、図面資料の築年数を見ただけで「却下」になりますから、内見にいたることは少ないですし、大手の不動産会社の営業は築年数の浅いものを優先的に紹介します。「案内のリスクが少ない=早く申し込みを取りたい」からです。
この関係から、広く内容のいい築年数の古いマンションは安いです、当然築年数が原因で「検索の時点で落ちている」のですから、需要と供給の原則で安い物件となります。
しかしですよ
特に都心部、表参道、赤坂、広尾、麻布、恵比寿、参宮橋、新宿・・こういったエリアの開発は古いですから、築年数の古いマンションが多数あります「築年数10年以内」だと圧倒的多数の物件を捨てるのと意味は同じです。
そして、一般的な人は「そんな賃料の高いところに住める筈ない」と問い合わせすらしませんから・・・
つまり、私鉄沿線郊外の築年数の浅いマンションは、内容を問わず賃料が上昇し、内容もいいとは言えなくても、人気がある。
@どうなんでしょうねぇ、これは。
RCマンションの固定資産税の課税年次は47年、実際の耐用年数は60年と言われています、これが又RCマンション創世記の物量投入は今の新築の比では無いので、どこを叩いてもびくともしません。100年もつんじゃないでしょうか?このRCマンションの「1〜10年までしか住まない」と宣言する事は極端に言えば(まだ第一期が築40年ほどですから「極端すぎる」のですが)「90%の物件に無条件に暮らすつもりが無い」のと同じで、その環境で「いい部屋を探す」と言う事は根本に矛盾が生じます。
いい部屋を探しているのではなく、竣工年次が一番大事なお部屋探しをしているのと同じです。
@そりゃ築年数が古いと、バランス釜が出てきたり、設備的にそもそも希望条件からはみ出してしまうものも多く出てきますから、物件を調査し紹介する私も、多数の資料を前にしてお客さんも大変ですが、それが「部屋探しの醍醐味」だと私は思うのです。
暫くこんなポイントを連載しようと思います。
次回は「礼金敷金・東京ルール」についてです。
その背景は『リフォーム』と、問い合わせのミスマッチがあります。
RCマンションの問い合わせには「築年数10年以内」非常に多く耳にします。しかし実際その語源の出所は、大手不動産会社の宣伝や、民間サイトに多く見られる築年数による検索です。
実際物件のキャラクターとして築年数に意味があるのか?
この答えは「当たり外れが少ない」事ぐらいです。
これは=「管理会社(不動産会社)や家主の管理の影響が少ない」からです。「ついこないだまで新築だった」んですから。
それ以外現実たいして意味はありません。あるとすると
「これしかも築浅ですよ(営業トーク)」
「築年数が浅いのがいんですけど(物件知識的のプロではないのに)」
この組み合わせで『賃料が高い』事です。
(何度も触れた「新築の優位性」はこれとは別個の話なんです)
「築10年の管理のたいしたこと無いマンションより、築30年の管理体制のいいマンションの方が内容がいい」なんて事しょっちゅうなんです。
しかし「築年数10年以内」に拘るお客さんは、図面資料の築年数を見ただけで「却下」になりますから、内見にいたることは少ないですし、大手の不動産会社の営業は築年数の浅いものを優先的に紹介します。「案内のリスクが少ない=早く申し込みを取りたい」からです。
この関係から、広く内容のいい築年数の古いマンションは安いです、当然築年数が原因で「検索の時点で落ちている」のですから、需要と供給の原則で安い物件となります。
しかしですよ
特に都心部、表参道、赤坂、広尾、麻布、恵比寿、参宮橋、新宿・・こういったエリアの開発は古いですから、築年数の古いマンションが多数あります「築年数10年以内」だと圧倒的多数の物件を捨てるのと意味は同じです。
そして、一般的な人は「そんな賃料の高いところに住める筈ない」と問い合わせすらしませんから・・・
つまり、私鉄沿線郊外の築年数の浅いマンションは、内容を問わず賃料が上昇し、内容もいいとは言えなくても、人気がある。
@どうなんでしょうねぇ、これは。
RCマンションの固定資産税の課税年次は47年、実際の耐用年数は60年と言われています、これが又RCマンション創世記の物量投入は今の新築の比では無いので、どこを叩いてもびくともしません。100年もつんじゃないでしょうか?このRCマンションの「1〜10年までしか住まない」と宣言する事は極端に言えば(まだ第一期が築40年ほどですから「極端すぎる」のですが)「90%の物件に無条件に暮らすつもりが無い」のと同じで、その環境で「いい部屋を探す」と言う事は根本に矛盾が生じます。
いい部屋を探しているのではなく、竣工年次が一番大事なお部屋探しをしているのと同じです。
@そりゃ築年数が古いと、バランス釜が出てきたり、設備的にそもそも希望条件からはみ出してしまうものも多く出てきますから、物件を調査し紹介する私も、多数の資料を前にしてお客さんも大変ですが、それが「部屋探しの醍醐味」だと私は思うのです。
暫くこんなポイントを連載しようと思います。
次回は「礼金敷金・東京ルール」についてです。